絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む

すべてのカテゴリ

3 件中 1 - 3 件表示
カバー画像

一進一退の波に揺られて――心の回復に時間が必要な理由

 医療の現場には、診療科ごとにまったく異なる時間が流れています。 救急の現場は、まさに「分・時間」の世界です。一瞬の遅れが命を左右する緊迫感のなか、刻一刻と変わる病状に応じて、文字通り一刻を争う決断が下されます。 一方で、内科の病棟は「日」の単位で動いています。毎日のバイタルサインや血液検査の数値を追いかけ、お薬の効果を確かめながら一歩ずつ治療を進めていきます。 しかし、精神科の扉を叩くと、そこには「月・年」という驚くほど緩やかな時計が掛けられています。内科が扱うのは、胃や肺といった物理的な臓器です。炎症や数値の異常という「目に見える証拠」をもとに治療を行います。対して精神科が向き合うのは、脳の機能や心という「目に見えない領域」です。 うつ病や適応障害の治療では、お薬の効果が出るまでに数週間、環境の調整やリハビリを含めれば年単位の時間がかかることも珍しくありません。「昨日や今日では変化が見えなくても、1か月経って振り返れば、確かに前に進んでいる」――それが、この病気との付き合い方なのです。 なぜ、心と脳の回復にはこれほどの時間が必要なのでしょうか。まず、脳の神経や認知機能の修復には、細胞レベルでの物理的な時間が必要だからです。  うつ病のとき、脳内では神経伝達物質のバランスが崩れ、前頭前野の活動が低下しています。この根本的な回復は、体のだるさや食欲の改善よりもずっと後回しにされます。気分が少し戻ってきても、思考力や集中力が戻るまでにはさらに時間がかかるため、本調子になるまでには長いリハビリが必要になります。 また、その歩みは決して直線ではありません。調子が良い日と悪い日を交互に
0
カバー画像

カウンセリングのプロセスについて ― 心はどうやって整っていくのか ―

はじめに「カウンセリングって、実際どう進むの?」「何回くらい通えばいいの?」「本当に変わるの?」そんな疑問を持ちながら、一歩を迷っている方も多いと思います。今日は、カウンセリングの“流れ”と“心の変化のプロセス”をわかりやすくお話しします。読んだあとに、「なるほど、そういう時間なんだ」と少し安心していただけたら嬉しいです。1 はじめは「うまく話せない」が普通です初回は、多くの方が緊張しています。・何を話せばいいかわからない・うまく説明できない・こんなことで相談していいのか迷うそれで大丈夫です。最初の時間は、問題を解決するためというよりも、安心できる空気をつくる時間です。人は、安心してはじめて本音に近づけます。焦らなくていい。整った言葉でなくていい。ここから、ゆっくり始まります。2 話すことで「感情が分かれていく」悩みが苦しいのは、感情が混ざり合っているからです。怒りの奥に、寂しさがある。不安の奥に、期待がある。イライラの奥に、傷つきがある。話していくうちに、その混ざり合った感情が少しずつ分かれていきます。「私は悲しかったんだ」「本当は怖かったんだ」そう気づいた瞬間、心は少し軽くなります。これはアドバイスではなく、整理のプロセスです。3 繰り返し出てくるテーマが見えてくる数回重ねると、共通するパターンが見えてきます。・いつも我慢してしまう・断れない・期待しすぎて傷つく・頑張りすぎて疲れる人生のあちこちで起きていることが、一本の線でつながる瞬間があります。「ああ、私はこういう癖があるんだ」責めるのではなく、理解できるようになる。ここから変化が始まります。4 変化は“劇的”ではなく“
0
カバー画像

休職中なのに、なぜ疲れるんだろう

この記事はフィクションですが、カウンセラーは実在し個人カウンセリングを提供しています クライエントさやかさん(女性)________________________________________ 「頑張っているのに、回復しない」 カウンセリングルームに入ってきたさやかさんは、どこか疲れた様子だった。表情に緊張が見える。椅子に座るなり、少し焦ったように話し始めた。 さやか: あの、ダイキさん。休職して3ヶ月も経つのに、全然元気にならないんです。むしろ、最近また疲れてきちゃって… ダイキ: そうなんですね。3ヶ月休んでいても、疲れを感じている。 さやか: はい。おかしいですよね。仕事してないのに、なんか毎日疲れてて。夜も眠れないし、頭もボーッとするし… さやかさんは言葉を切って、少し下を向いた。 ダイキ: 仕事をしていないのに疲れている、と。…今、休職中はどんなふうに過ごされていますか? さやか: えっと…朝は8時に起きて、午前中は転職サイト見たり、履歴書を書いたり。午後はジムに行って、夜は資格の勉強を2時間くらいやってます。あ、あと土日はセミナーとか参加したり。 ダイキ: なるほど…結構、予定がいっぱいですね。 さやか: そうなんです。だって、休んでばかりもいられないじゃないですか。このまま何もしないでいたら、復職も転職もできなくなっちゃうし。体力も落ちちゃうし… そう言いながら、さやかさんの声には少し焦りが滲んでいた。 「休んでいるつもりが、休めていない」 ダイキ: ...さやかさん、ちょっと聞いてもいいですか。今挙げてくださった活動、ジムとか資格の勉強とか、それをやった後っ
0
3 件中 1 - 3