休職中なのに、なぜ疲れるんだろう

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この記事はフィクションですが、カウンセラーは実在し個人カウンセリングを提供しています

クライエント
さやかさん(女性)
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「頑張っているのに、回復しない」

カウンセリングルームに入ってきたさやかさんは、どこか疲れた様子だった。表情に緊張が見える。椅子に座るなり、少し焦ったように話し始めた。
さやか: あの、ダイキさん。休職して3ヶ月も経つのに、全然元気にならないんです。むしろ、最近また疲れてきちゃって…
ダイキ: そうなんですね。3ヶ月休んでいても、疲れを感じている。
さやか: はい。おかしいですよね。仕事してないのに、なんか毎日疲れてて。夜も眠れないし、頭もボーッとするし…
さやかさんは言葉を切って、少し下を向いた。
ダイキ: 仕事をしていないのに疲れている、と。…今、休職中はどんなふうに過ごされていますか?
さやか: えっと…朝は8時に起きて、午前中は転職サイト見たり、履歴書を書いたり。午後はジムに行って、夜は資格の勉強を2時間くらいやってます。あ、あと土日はセミナーとか参加したり。
ダイキ: なるほど…結構、予定がいっぱいですね。
さやか: そうなんです。だって、休んでばかりもいられないじゃないですか。このまま何もしないでいたら、復職も転職もできなくなっちゃうし。体力も落ちちゃうし…
そう言いながら、さやかさんの声には少し焦りが滲んでいた。

「休んでいるつもりが、休めていない」

ダイキ: ...さやかさん、ちょっと聞いてもいいですか。今挙げてくださった活動、ジムとか資格の勉強とか、それをやった後って、どんな感じですか?
さやか: どんな感じ…ですか?
ダイキ: うん。終わった後、スッキリします? それとも、疲れます?
さやかさんは少し考え込んだ。
さやか: ...正直、疲れます。でも、運動したら疲れるのって当たり前ですよね。気分転換にもなるし、いいことだと思ってたんですけど…
ダイキ: 気分転換にはなるけど、疲れる。
さやか: はい…あと、セミナーとかも、その時は「勉強になった」って思うんですけど、家に帰るとぐったりしちゃって。次の日も何となくだるいんです。
ダイキは静かに頷いた。
ダイキ: さやかさん、もしかしたら…休んでいるつもりで、実は休めていないのかもしれませんね。
さやか: えっ…? でも、仕事はしてないですよ?
ダイキ: そうですね、仕事はしていない。でも、体も頭も、結構動かしている。
さやかさんは戸惑ったような表情を浮かべた。

動物の話

ダイキ: 少し変な質問かもしれないんですけど…動物って、弱っている時、どうすると思います?
さやか: 動物…ですか?
ダイキ: はい。例えば、野生の動物が怪我をしたり、体調を崩したりした時。
さやか: えっと…隠れる、とか?
ダイキ: そう、隠れる。安全な場所でじっとして、動かない。でも、心はどうでしょう?
さやかさんは少し考えてから答えた。
さやか: ...警戒してる、かな。いつ襲われるか分からないから。
ダイキ: そうなんです。体は動かさないけど、心は警戒モード。周りに敵がいないか、ずっと気を張っている。
さやか: ああ…
ダイキ: その状態って、実はすごくエネルギーを使うんです。じっとしているけど、心が休まっていない。
さやかさんの目が少し大きくなった。
さやか: それ、私かもしれない…
間があった。
さやか: 休職してから、ずっと不安で。「早く復職しなきゃ」「このままじゃダメだ」って、頭の中でグルグルしてて…
ダイキ: 体は仕事から離れているけど、心は常に警戒している。
さやか: ...はい。
さやかさんの声が小さくなった。

「休む」って、そういうことじゃない

ダイキ: さやかさん、今の状態で、ジムに行ったり資格の勉強したりすると、どうなると思います?
さやか: どうなる…?
ダイキ: 心がすでに警戒モードで、エネルギーをたくさん使っている状態。そこに、さらに体を動かしたり、頭を使ったりする。
さやか: ...もっと疲れる。
ダイキ: そうなんです。その時は「頑張った」って思えるかもしれない。でも、後から疲れが来る。
さやかさんは黙って、自分の手を見つめていた。
さやか: でも…休んでばっかりいたら、体力落ちちゃうじゃないですか。それに、何もしてない自分が…情けなくて。
そう言った瞬間、さやかさんの目に涙が浮かんだ。
ダイキ: 何もしてない自分が、情けない。
さやか: ...はい。周りはみんな働いてるのに、私だけ。時間を無駄にしてるって…
ダイキ: さやかさん、一つ聞いてもいいですか。普段、運動もしないで1年過ごしたとしますよね。そうしたら、「運動不足ですね」って笑って済ませませんか?
さやか: ...え?
ダイキ: でも、休職中に1ヶ月しっかり休みましょうって言われると、「体力が落ちちゃう」って心配になる。なぜでしょうね。
さやかさんは答えられなかった。
ダイキ: それは…心が疲れている時の、考え方の偏りなんです。本当は、1ヶ月休んでも体力はそこまで落ちない。でも、不安だから、そう思えてしまう。

充電の話

ダイキ: スマホのバッテリーって、充電する時、どうしますか?
さやか: えっ…充電器に繋ぎます。
ダイキ: その時、スマホ使いながら充電しますか?
さやか: ...いや、使わない方が早く充電できますよね。
ダイキ: そうなんです。今のさやかさんは、充電しながら、同時にスマホを使っちゃってる状態かもしれない。
さやかさんははっとした表情になった。
さやか: 充電と同時に、放電もしてる…
ダイキ: はい。エネルギーの回復って、補給から支出を引いた分なんです。いくら休んでても、同時にエネルギーを使ってたら、回復しない。
さやか: じゃあ、私…ずっと回復してなかったんだ。
さやかさんは深く息を吐いた。
ダイキ: 「休んでばかりいられない」って思う気持ち、よく分かります。でも、今は充電だけをする時期なのかもしれない。
さやか: ...充電だけ。

小さな一歩

少し沈黙があった。さやかさんは涙を拭いて、ゆっくりと顔を上げた。
さやか: じゃあ、私…どうしたらいいんでしょう。
ダイキ: まず、刺激を減らすことから始めてみませんか?
さやか: 刺激を減らす…?
ダイキ: はい。転職サイトとか、セミナーとか、ニュースとか。そういうのを一旦、見ないようにする。ジムも、今は少しお休みする。
さやか: えっ…でも、それって…何もしないってことですよね。
さやかさんの声に不安が滲んだ。
ダイキ: 「何もしない」じゃなくて、「エネルギーを使わない」。体の力を抜いて、ゆっくり呼吸する。それだけでいい。
さやか: ...それだけ、ですか。
ダイキ: それだけ。最初は難しいかもしれません。でも、少しずつ、試してみる。
さやかさんは少し考えてから、小さく頷いた。
さやか: やってみます。...怖いけど。
ダイキ: 怖いですよね。でも、さやかさんの体は、本当は休みたがってる。それを信じて、少しだけ、許可を出してあげませんか?
さやか: ...はい。
部屋に柔らかい沈黙が流れた。
さやかさんは、窓の外をぼんやりと見ていた。その表情は、少しだけ、穏やかになっていた。



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