第2話:崩れていく日常、そして決意
― シリーズ「心が限界を超えたとき」―DV相談員さんの「それは、DVです」という言葉で、張りつめていた糸がぷつりと切れた。あの瞬間、私はようやく「自分の感じていた苦しみ」が「間違いではなかった」と知った。でも、現実はすぐには変わらなかった。帰る家は、相変わらず恐怖の場所だった。何か言葉を発すれば怒鳴られ、黙っていれば無視された。「存在していること」そのものが、間違いのように感じていた。食器を割られる音。テーブルを叩く音。そのたびに、体が勝手に震えた。いつの間にか、笑うことも泣くこともできなくなっていた。そんなある夜、彼が眠ったあと、私は静かにキッチンの椅子に座った。手のひらを見つめながら、「生きるって、こんなに体力使うんや」そうつぶやいた。誰かと一緒にいるということが、こんなにも心を削るものだとは知らなかった。このままでは、きっと心が壊れてしまう。薬づけになって、ただ呼吸だけをして生きる日々になる。 もう、ここにいてはいけない。その夜、決めた。「離れよう」翌朝、DV相談員さんに電話をした。震える声で、「もう無理です」とだけ伝えた。相談員さんは静かに言った。「大丈夫。順を追ってやっていきましょう」それからの日々は、まるで戦いだった。調停委員さんさんとの面談、調停の呼び出し。心は限界だったけれど、それでも「生きるため」に動いた。そしてようやく「調停離婚」が成立した日。書類に押した印鑑を見つめながら、涙がこぼれた。悲しい涙ではなく、「ここから、やり直せる」という、小さな希望の涙だった。
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