絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む

すべてのカテゴリ

2 件中 1 - 2 件表示
カバー画像

正しさのデパートと、音の色

朝のチャイムが鳴る。窓の外はやわらかな青。なのに教室の中は、今日も灰色に沈んでいる。起立、礼、着席。動きはそろうのに、心はどこかそろわない。担任が出欠をとる。「提出物の締切は昨日。まだの者はこのあと来ること。」「連絡事項は掲示と配布プリントを各自確認するように。」1限目。チョークの粉が白く舞い、黒板の文字はまっすぐ並ぶ。「ここ線引け」「ここ重要」「ここ覚えろ」ノートの罫線には同じ大きさの文字が並び、ページが隙間もなく埋まっていく。(これ、あと何回繰り返すんだろう)2限目が終わる。休み時間。同じ会話が、また教室に流れる。「次の小テスト、やばいな」「宿題、間に合った?」「マジでだるい」——昨日も聞いた、たぶん明日も聞く言葉たち。蛍光灯はジジ、と小さくうなり、時計は同じ音で時を刻む。窓の外は澄んだ青なのに、教室だけは色が抜けたままだ。クラスメイトの佐藤が近づいてきた。「おい、先生が呼んでるぞ」「……俺? 何かしたか?」心当たりはない。胸の奥にざわめきが広がる。職員室。紙の匂いと、印刷機の低い唸りが途切れ途切れに続く。机の向こうで先生が顔を上げた。視線は冷たい。「提出物、締切は昨日だ。お前、まだ出していないな」「はい……すみません。今ここに持ってきました。これから——」声が一段低くなる。「遅れた時点で提出したとは言わん。規則は規則だ。 学校は社会の縮図だ。ここで守れない者は、社会に出ても通用せんぞ!」机をドンと叩く音が響いた。空気が揺れる。心臓の鼓動が耳の奥でガンガン鳴っていた。「……俺、本当にここまで責められることをしたのか?」教室へ戻ると、同じ会話が待っている。「で、どうだった」「
0
カバー画像

私も……悠真くんが好き

夕焼けの廊下を歩きながら、凪は隣の悠真の気配を感じていた。いつもより近い距離。肩が触れそうで触れない、そのわずかな隙間。「……さっきのこと」悠真が静かに口を開いた。凪の心臓が跳ねる。「陽菜のこと、気にしてる?」図星だった。「う、ううん……」凪は小さく首を振った。でも、悠真は足を止めた。「凪」その呼び方が、いつもより真剣で。凪も思わず立ち止まる。夕焼けに染まる廊下で、悠真は凪の目をまっすぐ見つめた。「俺は、凪といる時間が好きだ」胸がぎゅっと締めつけられる。「陽菜はいい子だし、嫌いじゃない。でも……」一瞬、言葉を探すように視線を落とす。「凪とは、特別なんだ」その言葉に、凪の呼吸が止まりそうになる。(特別……)嬉しいのに、怖かった。この関係が変わってしまいそうで。そのとき——「悠真くーん!」廊下の向こうから、明るい声が響いた。振り向くと、息を切らした陽菜が立っていた。「忘れ物しちゃってさ!」陽菜は笑いながら近づいてくる。でも、その視線はしっかりと悠真を捉えていた。「さっきの約束、今度は絶対だからね」「……うん」悠真は戸惑いながらもうなずく。そのやりとりを見て、凪の胸がまた痛む。陽菜はふと凪を見て、少しだけ真剣な表情になった。「凪ちゃん」「な、なに?」「悠真くんのこと……好きでしょ?」空気が凍った。悠真も驚いて陽菜を見る。「ひ、陽菜……!」凪の顔が一気に熱くなる。「そ、そんな……」言葉がうまく出てこない。陽菜は一歩近づいて、やさしく微笑んだ。「隠さなくていいよ。私、わかるもん」そして、静かに続ける。「私も……悠真くんが好き」胸が大きく揺れる。三人の視線が絡み合う。夕焼けの光の中で、逃げ
0
2 件中 1 - 2