私も……悠真くんが好き
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コラム
夕焼けの廊下を歩きながら、
凪は隣の悠真の気配を感じていた。
いつもより近い距離。
肩が触れそうで触れない、そのわずかな隙間。
「……さっきのこと」
悠真が静かに口を開いた。
凪の心臓が跳ねる。
「陽菜のこと、気にしてる?」
図星だった。
「う、ううん……」
凪は小さく首を振った。
でも、悠真は足を止めた。
「凪」
その呼び方が、いつもより真剣で。
凪も思わず立ち止まる。
夕焼けに染まる廊下で、
悠真は凪の目をまっすぐ見つめた。
「俺は、凪といる時間が好きだ」
胸がぎゅっと締めつけられる。
「陽菜はいい子だし、嫌いじゃない。でも……」
一瞬、言葉を探すように視線を落とす。
「凪とは、特別なんだ」
その言葉に、凪の呼吸が止まりそうになる。
(特別……)
嬉しいのに、怖かった。
この関係が変わってしまいそうで。
そのとき——
「悠真くーん!」
廊下の向こうから、明るい声が響いた。
振り向くと、息を切らした陽菜が立っていた。
「忘れ物しちゃってさ!」
陽菜は笑いながら近づいてくる。
でも、その視線はしっかりと悠真を捉えていた。
「さっきの約束、今度は絶対だからね」
「……うん」
悠真は戸惑いながらもうなずく。
そのやりとりを見て、凪の胸がまた痛む。
陽菜はふと凪を見て、
少しだけ真剣な表情になった。
「凪ちゃん」
「な、なに?」
「悠真くんのこと……好きでしょ?」
空気が凍った。
悠真も驚いて陽菜を見る。
「ひ、陽菜……!」
凪の顔が一気に熱くなる。
「そ、そんな……」
言葉がうまく出てこない。
陽菜は一歩近づいて、やさしく微笑んだ。
「隠さなくていいよ。私、わかるもん」
そして、静かに続ける。
「私も……悠真くんが好き」
胸が大きく揺れる。
三人の視線が絡み合う。
夕焼けの光の中で、逃げ場のない瞬間。
悠真は息をのんで二人を見つめた。
誰も悪くない。
でも、もう戻れない。
凪は震える声で言った。
「陽菜ちゃん……」
陽菜はまっすぐ見返す。
「正々堂々、勝負しよ?」
その言葉に、悠真の表情が揺れ動く。
廊下に沈黙が落ちる。
ドキドキと心臓の音だけが響いていた。
——静かな日常は、完全に終わった。
ここから、本当の三角関係が始まる。