“ちゃんと”の背景にある、京都的な美しさ
「綺麗なおべべやなあ」
「京都の人みたいにおっとりしてはるなあ」
着物を着て祇園へ出かけたある日、ママさんから
そんな言葉をかけられた。
それは褒め言葉だったのか?
皮肉だったのか?
わたしにはすぐには分からなかった。
着物の合わせ方が間違っていた?
「おっとり」は「とろい」って意味?
でもそのまま、気づいていないフリをして笑った。
どこかで「ちゃんと」振る舞わなきゃと
気を張っていたからこそ、
そうした場面で「正解探し」をしてしまう。
でも、あの日のわたしは、
わたしなりに「綺麗に着よう」と、
ひとつひとつ丁寧に身支度をしたんだよな。
ヒオウギの花のように、
控えめで目立たないけれど、
凛として咲く美しさが、あのときのわたしにもあった。
たとえ誰かに伝わらなかったとしても、
その日のわたしが感じた誇りや静けさは、
たしかに、そこにあった。
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