アトラス行政書士法人の事件簿 第4回 ノウハウ提供と専任講師契約──高額取引の裏にある契約実務のポイント
ビジネスの成長に伴い、サービス単価が高額化するケースが増えてきました。それに比例して、「いざトラブルが起きたときに備えたい」「契約内容に曖昧な部分があると不安」というご相談も増えています。今回ご紹介するのは、ビジネス支援サービスを提供する企業様からのご依頼で、ノウハウの提供・講師業務の委託・成果報酬型の支払いを含む、高額な契約書を整備した一件です。相談の発端:「高額の成約が決まりそうだが、書類が整っていない」ご相談のきっかけは、あるビジネス系のサービスが1,000万円を超える金額で成約間近となり、「今のままでは書面が追いついていない」と感じたことでした。契約の中身は、単なる業務委託にとどまらず、独自ノウハウのレクチャー専任講師としての立場で一部業務を委託業務前に有償の研修を実施その後の実務においては成果に応じた報酬という、いわば複合型の取引構造になっており、「テンプレート契約書では対応しきれない内容」だったのです。ノウハウ提供と研修費用の整理この契約でまず重要だったのは、甲(委託側)が独自に培ってきたビジネスノウハウを、乙(受託側)に対して研修という形で提供する点です。これを契約内で適切に整理しないと、「業務委託の一環」とみなされ、報酬の一部と誤認される万一、契約が途中で終了した場合に「返金請求」が発生する研修の位置づけが不明瞭となり、法的拘束力が弱まるといったリスクが生じます。そこで、契約書の中では「業務委託に先立って行われる研修」として独立の条項を設け、受講料を契約締結時点で発生する一時金として設定し、いかなる場合にも返金しない旨を明記しました。このような整理によって、研修
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