◆はじめに:ビジネスが軌道に乗ってきた今、見落としがちなこと
「そろそろ、きちんとした契約を作った方がいい気がしてきました」
ある日いただいたご相談の冒頭にあったのは、そんなごく自然な気付きでした。
ご相談者は、物販に関する支援を専門とするフリーランスの方。商品企画や販売導線、仕入れの工夫に関するアドバイスなど、いわば“実働以外のすべて”をサポートする専門家として、複数の法人から継続的に顧問契約を求められている状況でした。
しかし、その支援はこれまでメールや口頭ベースでの合意に留まり、「契約書はないけれど信頼関係でやってきた」というスタイル。
だからこそ、ある程度の法人との付き合いが増えた今、**「契約書の不在がリスクになりうる」**と感じられたそうです。
◆今回のポイント:物販支援=業務範囲が多岐にわたる
この種の顧問契約の最大の特徴は、業務の内容が“広く、しかし定義しづらい”という点にあります。
商品企画の立案・アドバイス
試作品やサンプルに対するフィードバック
販売導線の設計(SNS運用、広告出稿、LP改善等)
仕入先の選定や交渉の支援
オンラインミーティングによる打合せ
日常的なチャットでの相談対応
こうした支援は、どれも“定量化しづらい価値”でありながら、クライアント側にとっては極めて実務的・実践的な内容です。
そこで重要なのが、「契約書でどこまでどう言語化するか」という視点です。
◆契約書の工夫:書きすぎず、でも曖昧すぎず
契約書においては、「具体的に書く=良い」わけではありません。
むしろこのような顧問業務では、「柔らかく、しかし責任の範囲は明確に」書く工夫が必要です。
今回の業務内容は、以下のように記載することにしました:
「乙は甲の物販事業に関する商品企画、試作品検討、販売導線の立案、仕入調整の助言等、実働を除いた支援業務全般に関し、指導助言を行う。」
これにより、業務範囲の幅は確保しつつ、「実務の代行」ではないことも同時に明示できます。
◆サポート手段の言語化も重要
この契約では、定期的なミーティング(オンラインまたは対面)と、日常的なチャット対応が含まれます。
ミーティングの頻度や方法は、「月に数回を目安に、双方の協議により決定」と記載し、柔軟性を残しつつ、「頻度・手段は合意の上で決める」という原則を明確に。
また、チャット対応については:
「業務上の質問・相談は、指定するビジネスチャットツールを通じて無制限に行えるものとする。」
と定義。回数制限の有無を明文化することで、「後から想定外の量が来た」という摩擦を回避できます。
◆契約期間と更新のスタイル:「柔軟だけど信頼できる形」
このような支援型の契約では、「1カ月単位での自動更新」が非常に相性が良いです。
事業の変化に応じて柔軟に対応できる
期限の意識が生まれる
双方の関係性の見直しもやりやすい
契約書では次のように記述しました:
「本契約の期間は1カ月とし、期間満了までに更新拒絶の申し出がない限り、さらに1カ月間延長されるものとする。」
◆費用と経費の取り扱い:「言葉の準備」がトラブルを防ぐ
月額報酬については、あえて金額を明示せず「一定額」として記述し、契約書の文面が広く使えるよう配慮しました。
経費の扱いについては、
「材料費、交通費等、業務遂行に直接かかる実費については、必要に応じて別途甲が負担する。」
とすることで、柔軟性を持たせつつ、想定外の費用がトラブルにならないよう明文化しています。
◆顧問契約にありがちな「黙示のズレ」を防ぐには?
多くの顧問契約でトラブルになるのは、「言った・言わない」ではなく、
それは業務に含まれていると思っていた
そこまではやってくれると思っていた
そんな頻度でやる話じゃなかった
といった**“期待のズレ”**です。
この“期待”を“文言”にしておくことが、契約書の最大の役割だと、私たちは考えています。
◆まとめ:整えることで、より自由に活動できる
契約書とは、制限をかけるものではありません。
むしろ、
どこまでを、どうやるか
どう進めて、どう終わるか
という“前提を揃える”ことで、日々の業務をより自由に、気持ちよく行えるようにするものです。
特に、企画・アドバイス・指導といった「目に見えにくい支援」を行っている方にとっては、契約書こそが“仕事の形”を明確にしてくれるものとなります。
◆アトラス行政書士法人のサポート領域
当法人では、業務委託契約書・顧問契約書の作成を数多く承っており、特に次のような方にご好評をいただいています:
サービス内容が柔軟なため、契約書でどう表現すべきか悩んでいる
自由な業務スタイルを契約書にどう反映するか知りたい
契約書のフォーマットでは不安がある
「この仕事、どう書いたらいいですか?」という段階からのご相談でも構いません。ぜひお気軽にご連絡ください。