こんにちは。アトラス行政書士法人です。
本シリーズでは、私たちの事務所に寄せられた印象的なご相談事例をもとに、現場の工夫や苦労話をご紹介していきます。
今回のテーマは「相続土地 × 医療施設」。
不動産オーナーとしての第一歩を踏み出すお客様と一緒に、ひとつの契約書をつくりあげた物語です。
■ 相続で得た土地、そこに建つのは「病院」
ご相談者は、不動産の貸し出しは初めてという方。
親族から相続した土地は住宅街の一角にあり、もともとは駐車場として使われていました。
そんな中、地域の医療法人から「その土地に病院を建てたい」との申し出が。
建物本体と付属する駐車場を一体で整備するため、土地を分筆し、一部を貸し出すという計画が進みました。
ここで私たちにご相談が寄せられたのです。
「どういう契約書にすれば、貸す側として安心できるのか?」
■ 契約のポイント1:用途の明確化と期間設定
まず大切なのは、土地の使用目的を限定すること。
今回の契約では、土地の用途を「病院の運営および付帯駐車場の設置」に限定しました。これにより、将来的に想定外の事業に転用されるリスクを回避しています。
また、契約期間は比較的長期に設定。病院というインフラ施設の性質上、15年というスパンでの賃貸借契約となりました。更新や終了時の手続きについても、双方が納得できる形で明記しています。
■ 契約のポイント2:敷金の交渉とバランス
貸主様にとっての大きな関心事は、「万が一に備えた保証」──つまり敷金でした。
借主側は1,000万円弱を希望された一方で、貸主側としてはより多めに設定しておきたいご意向がありました。
私たちは、一般的な事業用賃貸の慣習をふまえ、賃料の複数ヶ月分+設備負担を想定した上乗せ分として、折り合いがつく金額帯を提案。最終的に契約書上では「賃料の●ヶ月分相当額」とし、具体金額を添えて締結しました。
また、敷金の返還条件や充当範囲についても細かく定義することで、将来のトラブル回避につなげています。
■ 契約のポイント3:固定資産税の懸念と対応
もう一つ、貸主様が懸念されていたのが固定資産税の増加です。
建築が進むことで土地評価が上がり、税額が上昇する可能性があります。ところが、借主側からは「建築中は現状の駐車場相場に基づいた賃料で」との希望が。
ここでは、「工事期間中は一定の賃料、開業後は改めて賃料を引き上げる」という二段階の賃料設定をご提案。
賃料の切り替えタイミングや額については、契約書で明確に定め、納得の上で合意に至りました。
■ 契約のポイント4:修繕負担の明文化
敷地の一部には、整地が必要な溝や古いフェンスがありました。
貸主様としては、「整備は借主側で行ってもらいたい」というご希望。
この点も契約条項として明記し、「借主が自己負担で整備・撤去を行う」と明文化しました。
見落とされがちな項目ですが、こうした一文があることで、後々の誤解や金銭トラブルを防ぐことができます。
■ まとめ:「信頼」を形にするのが契約書
今回のように、不動産に不慣れな貸主様と、計画を進める借主様とをつなぐ橋渡し役として、契約書の作成は非常に大切なプロセスです。
私たちアトラス行政書士法人では、
相手との関係性
将来に起こりうるリスク
地域性や慣習
といった複雑な要素を一つひとつ整理しながら、「安心できる契約書づくり」をご提案しています。
ご自身やご家族が所有する土地、どう使っていくか迷われている方も多いと思います。
「まずは話だけでも聞いてみたい」──そんなお気持ちでも構いません。お気軽にご相談ください。
それでは、次回の「事件簿」もお楽しみに。