ビジネスの中で、モデルやナレーター、出演者として身近な人を起用する場面は少なくありません。
特に企業の広報活動では、「信頼できる存在にお願いしたい」という思いから、社内外の関係者が登場するケースが多くあります。
今回のご依頼は、そうしたケースの中でも、税務処理の裏付けとしての契約整備を目的としたものでした。
📚 ご相談の背景:「実務としては問題ないが、記録が曖昧で心配」
ご相談者様は、自社の広報素材に、長年信頼を置いている人物をモデルとして起用していました。
出演料の支払いや撮影時の費用も、実態としてはすでに発生しており、社内的にはスムーズに進行していたとのこと。
「対外的に出るわけではないけど、きちんと経費処理したい。
そのために、契約書だけは正式に整えておきたいんです。」
とのご意向から、「見せるための契約ではなく、“備えるための契約”」を整備することになりました。
🔎 ケースの特性
モデル起用は、企業の広報用素材への出演を前提
契約書は、社内管理・税務処理の裏付け資料として作成
支払いは月額の定額制に加え、成果に応じた変動報酬を盛り込み
撮影に伴う費用(交通費・衣装代など)も発生しており、経費処理の一貫性が求められる
外部への開示を前提としない“記録用契約書”であることが、本件の最大の特徴です。
✍️ ポイント①:業務の範囲は丁寧に、かつ柔らかく
まず整理したのは、契約上の「活動内容」です。
CM、パンフレット、SNS、イベント等、広報活動全般を含む出演業務と定義
媒体や活動の細目を挙げながらも、柔軟性を持たせる構成
学業や本業等の都合がある場合の出演日の調整余地も明記
✅ ポイント: 実際の活動頻度にばらつきがある場合でも、「このような業務を頼んでいる」という形が文書上で可視化されていれば、税務署や会計事務所への説明にも使いやすくなります。
💰 ポイント②:定額報酬+成果連動インセンティブの構成
固定の報酬と、臨時的な支払いがあるケースでは、その両方を契約書上で整理しておくことが非常に重要です。
本件では:
月額の固定報酬(一定金額)を基本とし
広報素材への起用により売上・反響などが顕著にあった場合には、臨時報酬の支払いも可能と明記
臨時報酬の金額や判断基準は当社の裁量とすることで、柔軟に運用できる設計に
💬 補足: 「不定期に別途支払いがある」状態は、契約書で理由づけできるか否かで、支出の合理性に大きな差が生まれます。
🧾 ポイント③:経費処理のために「誰が何を負担するか」を明確に
撮影にかかる費用についても、事前に整理しておくことで、帳簿との整合性が保ちやすくなります。
今回の契約では:
モデル活動に関連する費用(交通費・食費・衣装代など)は、原則としてすべて会社負担
特別な費用については、都度協議のうえ負担を決定する仕組みに
「業務上必要な実費であること」を契約書で明記
これにより、撮影に関する支出を業務として処理する裏付けが完成しました。
🛡 安心のための基本構造も一通り整備
たとえ社内向け・記録用の契約でも、以下の基本条項はしっかり盛り込まれました。
契約期間:1年間(自動更新あり)
権利関係:出演素材に関する使用許諾の明記
支払・報酬に関する権利の帰属整理
契約違反時の損害賠償・解除条項
名前・写真・肖像の利用許諾
規定外事項の協議条項
✅ ポイント: 「提出しない契約」でも、後日“求められたら出せる”状態にあることが信頼につながります。
✅ まとめ:社内の安心、税務上の安全、それを担保するのが契約書
モデル契約に限らず、「身近な人への業務依頼」は、つい曖昧なままで進めてしまいがちです。
しかし、金銭の授受や経費が発生するのであれば、それが社内の記録として正しく残るようにすることは、法人経営にとって大切な姿勢です。
アトラス行政書士法人では、「社外には出さないが、社内で必要な契約」「家族・内部関係者との間の契約書」など、“目立たないが意味のある契約”を実務的にご支援しています。
経費処理・税務対応・将来の説明の備えとして、きちんと形を残しておきたいとお考えの方は、ぜひご相談ください。