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国語講師のひとり言「読解と鑑賞のあいだ」

『個別の授業で面と向かっては言いにくい話をコラムにしています。言いにくいワケは、生徒さんは1人1人状況が異なり、一般論のアドバイスがつねに当てはまるとは限らないからです。 ですのでタイトルも「ひとり言」。本コラムの内容に有効性があるかと問われれば、私自身の中学受験や長年の指導で実践を心がけ、結果を出してきた事実を挙げるのみです。』先日、国語の文章問題が浅田次郎氏の『霞町物語』から出題されていたのですが、読んでいて不覚にも泣いてしまいました。難関校対策の授業でかなり長文の抜粋だったため、しばし読みふけってジーンときちゃったんですね。ただし受験生は、テスト中に物語文を味わって読んでいるヒマはありません。スピーディーに読み終えて、待ち受けるけっこうな数の設問を、1つ1つたんねんに処理していかなければならないからです。現実問題としてたしかにそうではあるのですが、読み進めていて心が動かされることは、物語文などでは当然ありえます。設問では、文章中のいろいろな場所について細かく問われますから、最初に通して読んだときにできるだけ内容が頭に入っていた方が良いわけです。感動は強い印象ですので、当然記憶にも残り、それは設問に向かうときにも大いに助けになるでしょう。また逆から言えば、心が動かされたということは、物語の筋や登場人物の関係、主人公の内面の葛藤などがつかめている証拠とも言えます。感情を排し、読解に徹すると言えば聞こえはいいですが、実際はさして展開を追いきれておらず、それが原因で無感動のままなのかも…。
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私の好きな入試問題「2019年愛光中・3の問5」

大問3は物語文。出典は岩瀬成子氏の小説『地図を広げて』(偕成社)です。主人公の鈴は中学1年生。4年前に両親が離婚し、母は弟の圭だけを連れて出て行きました。母を恋しく思いながらもいつしか疎遠となったまま、ふた月前に母が急逝。小学3年になっていた弟の圭は、父のもとへと呼び戻され鈴と暮らし始めますが、新しい環境になかなかなじめません。そんな弟の思いを察した鈴が、母の思い出が残る福山の祖母の家に行くシーン。そこから出題がなされています。張りつめた心の動きをありふれた言葉ですくい取る、独特の静かなリアリズムが印象的。2人を迎えた鈴の祖母もまた、幼い頃から幾多の死を経験してきており、彼女の言葉には寂しさともあきらめともつかない響きが感じられます。「これ、お母さんの携帯電話」と、圭は小さい声で言った。(中略)圭はつぎつぎに写真を開いてみせた。(中略)「わかったでしょ。ぼくとお母さんはいっしょだったんだよ」と、画面を見たまま圭は言った。                       引用:岩瀬成子『地図を広げて』(偕成社)問5はそんな圭が就寝前に、家から持参した古い漫画本を読むシーンに関する選択肢問題。2冊の「かなり傷んでいる」漫画をリュックから取り出し、「読むけど、いい?」と姉にことわってから読み始める圭。「新しい漫画を買えばいいのに」(中略)「この本にあきたら買うから」と、仰向いて圭は言った。「まだあきていないの?」「だって、気づいていないところが見つかるもん」                       引用:岩瀬成子『地図を広げて』(偕成社)小学3年生なら、新しい本を欲しがるのが普通でし
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