『個別の授業で面と向かっては言いにくい話をコラムにしています。言いにくいワケは、生徒さんは1人1人状況が異なり、一般論のアドバイスがつねに当てはまるとは限らないからです。
ですのでタイトルも「ひとり言」。本コラムの内容に有効性があるかと問われれば、私自身の中学受験や長年の指導で実践を心がけ、結果を出してきた事実を挙げるのみです。』
先日、国語の文章問題が浅田次郎氏の『霞町物語』から出題されていたのですが、読んでいて不覚にも泣いてしまいました。
難関校対策の授業でかなり長文の抜粋だったため、しばし読みふけってジーンときちゃったんですね。
ただし受験生は、テスト中に物語文を味わって読んでいるヒマはありません。
スピーディーに読み終えて、待ち受けるけっこうな数の設問を、1つ1つたんねんに処理していかなければならないからです。
現実問題としてたしかにそうではあるのですが、読み進めていて心が動かされることは、物語文などでは当然ありえます。
設問では、文章中のいろいろな場所について細かく問われますから、最初に通して読んだときにできるだけ内容が頭に入っていた方が良いわけです。
感動は強い印象ですので、当然記憶にも残り、それは設問に向かうときにも大いに助けになるでしょう。
また逆から言えば、心が動かされたということは、物語の筋や登場人物の関係、主人公の内面の葛藤などがつかめている証拠とも言えます。
感情を排し、読解に徹すると言えば聞こえはいいですが、実際はさして展開を追いきれておらず、それが原因で無感動のままなのかも…。