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「生命倫理と死生学の現在②」 ~人は何のために生まれ、どこに向かっていくのか~

(1)「生殖革命」でゆらぐ「生命の尊厳」という原点 ②「QOL」(生命の質)の尊重と「生殖革命」の進展「QOL」(Quality of Life、クオリティ・オブ・ライフ)~広義のQOLは「人生の質」とも訳され、この場合のQOLの向上とは患者のみならず、市民の健康増進を図る事を意味ます。狭義のQOLは「生活の質」とも訳され、この場合のQOLの向上とは患者の日常生活をどれだけ苦痛の少ないものにするかという意味で用いられます。 QOLに対する取り組みは医療の歴史と共に発展してきました。「医療は人を見るものであり、医学は病気を見るものだ」とする考え方がありましたが、医療も科学的側面が強くなり、「病気は治ったが、患者は死んだ」という状態が問題となり、そのアンチテーゼとして医療の質を高めることを目的として、QOLという考え方が提唱されてきたのです。例えば、がんをはじめとした疾患の治療において、従来は治療効果を測る基準が生存期間(5年生存率など)のみでしたが、生存期間の長さに加えて、質も重要な治療効果であると考えるのが近年の流れです。  QOLが考慮される場面は様々であり、治療法の選択(乳がん治療で乳房を切除するか否かなど)、症状への対応(鎮痛など)といった状況でのQOLを定量的に評価する方法(感性制御技術など)や、治療法ごとのQOLへの影響の度合いが研究されています。特に治癒が期待できない終末期医療では、生存期間を伸ばすことに大きな意義はなく、QOLの維持向上こそが治療の目的となります。こうした痛みなどの症状軽減を目的とした医療は「緩和医療」と呼ばれます。 「人工授精」~「配偶者間人工授
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「生命倫理と死生学の現在③」 ~人は何のために生まれ、どこに向かっていくのか~

(1)「生殖革命」でゆらぐ「生命の尊厳」という原点 ③「SOL」(生命の尊厳)とは何か 「SOL」(Sanctity of Life、生命の尊厳)~「人は受精した瞬間から人である」という概念を持ち、「生きるに値しない命はない」ことを主題としています。これに対して、QOL(Quality of Life、人生・生活の質)は極論すれば「生命活動を行うに値する命」を重要とし、それ以外の命を否定する側面を持ちます。そのため、例えば人工中絶においては、SOLでは人工中絶を否定しますが、QOLでは許容します。 また、例えば植物状態に陥った人間に対しては、SOLでは生存させることを許容しますが、QOLでは生存を否定します。SOLとQOLのこの種の対立はしばしば人権問題や生命倫理とも絡みながら議論されることがあり、医療関係者や専門家においても意見は分かれています。 歴史的にはSOLの概念がより古いのです。 「SOL」の基本原則~生命(特に人の命)は無条件に尊いとし、以下の3原則が打ち出されています。 ①人為的に人の死を導いてはならない(正当防衛を除き、殺人は許されない)。 ②第三者がある人の命の値うちを問うことはできない。 ③全ての人命は平等に扱われなければならない(人の命の価値を比較してはならない)。  この倫理に基づけば、医療現場で医師は最後まで(可能な限り)患者の延命を続けなくてはならないという主張になります(脳死状態は死とみなさない)。SOL倫理は仏教やローマカトリックと同じ生命観になります。この立場に立つと、以下の倫理観を持つことになります。 ①殺人してはいけない。(積極的)安楽
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