『学校ではハグを控えてください』その言葉に、私はすぐ頷けませんでした。
息子が小学校へ入学して、しばらく経った頃のお話です。私は毎朝、息子を学校まで車で送っています。玄関まで一緒に歩いていき、「今日も一日頑張ってね」そんな気持ちを込めて、最後に決まってしていたことがあります。タッチ。握手。そして、ぎゅっとハグ。それが私たち親子のお別れの儀式でした。ハグをして、「いってらっしゃい。」そう言って教室へ向かう息子を見送り、私は車で家へ帰る。そんな毎日を過ごしていました。ある日、先生から声を掛けられました。「学校では、抱き合うことは控えていただいた方がいいと思います。」「ほかのお子さんも見ていますし、驚いてしまうかもしれません。」私は、その場では「分かりました。」と答えました。もちろん先生がおっしゃることも理解できます。玄関で長く立ち止まれば他の子の邪魔になることもあります。でも、私の心には、どうしても引っ掛かるものがありました。先生は知らなかったと思います。私が毎朝、どんな気持ちで息子を送り出していたのかを。息子が入学したばかりの頃。血小板の値はとても低く、少しのケガでも血が止まりにくい。小脳性失調の症状が強く、ふらついて転びやすい。さらに脳にはたくさんの血管腫があり、もし転倒して頭を強く打てば、脳出血を起こす可能性もありました。だから私は毎朝、学校へ向かう息子の背中を見ながら、心のどこかで思っていました。「今日、生きて帰ってこられるだろうか。」もちろん、そんなことが起こる可能性は高くはありません。でも、一度「命」を失いかけた経験をすると、"絶対に大丈夫"という言葉を、心から信じることができなくなります。だから私は、毎朝ハグをしていました。もし何かあった
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