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「夏目漱石『夢十夜』解説」~珠玉のラブストーリー~

私は昔から近代文学が大好きでして、その中でも夏目漱石が特に好きです。漱石に関しては、大学在学時にゼミで何度も学んだ記憶があります。漱石の思想と作品は、現在の私に少なからぬ影響を与えています。数ある彼の作品の中で、私が今回、語りたいのは短編集「夢十夜」についてです。私はこの作品をこよなく愛しておりまして、事あるごとに読み返して、感慨に浸っております。漱石の魅力は、その卓越した文章表現力と緻密に構成された文章の美しさにあります。彼の流麗な文体には、読む度に感服させられますし、自分もいつかこんな文章を書いてみたいと創作意欲を刺激されます。この「夢十夜」に収められた十作品のうち、私が特に好きなのは冒頭の「第一夜」です。第一夜はラブロマンスでして、これが極めて美しい、至高の愛の物語になっております。私はこの作品を読み返す度に涙が溢れて止まらなくなるので、あまり頻繫には読まないようにしているくらいです。この珠玉のラブストーリーの魅力に一度気付いてしまったら、皆さんもきっとこの作品の虜になることは間違いないと思います。機会がありましたら、是非とも一読されることを強くお勧め致します。この作品には二人の登場人物がいます。主人公の男と、その恋人と思われる女です。女は冒頭部分で、自身の命の灯がもう消えかけていることを男に告げます。男は動揺して、女がこの世を去ることに対する悲しみに打ちひしがれ、そのうちにその事実を受け止めます。女が死んで行くところの描写はとても繊細で、精緻なものです。世の中にこんなに美しい表現があるんだと、否が応でも感嘆させられます。「する と、 黒い 眸 の なか に 鮮 に 見え
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教養としての近代日本思想⑥:近代文学

写実主義:社会の実情や人間心理をありのままに写そうとする文学的立場・方法。坪内逍遥の評論『小説神髄』や実験小説『当世書生気質』、ロシア文学のリアリズム理論に基づいた二葉亭四迷の『小説総論』や「だ」体の口語文による言文一致体の小説『浮雲』、翻訳『あひゞき』(ツルゲーネフ)などがあります。逍遥は雑誌『早稲田文学』を舞台にして森鷗外と「没理想論争」(文学における現実主義と理想主義の対立)を交わしたり、島村抱月と文芸協会を設立して、新劇運動を展開しています。 擬古典主義:開国以来の欧化主義への反動としての復古的思潮。尾崎紅葉・山田美妙らは文学結社「硯友社」を作り、我が国最初の純文芸雑誌『我楽多(がらくた)文庫』を創刊して、紅葉は写実主義の最高傑作と呼ばれる『多情多恨』を発表して、言文一致体の到達点である「である」体を案出し、大作『金色夜叉』を連載して大評判を博します。幸田露伴は漢学・仏教・儒教の精神を基底に理想的・男性的・意志的な世界を中心に『五重塔』を著わし、紅葉の写実派に対して、理想派と称され、「紅露時代」を築きます。 浪漫主義:前近代的な因習や倫理を否定し、内面の真実を重んじて、理想や恋愛に自我を解放しようとしました。森鷗外はドイツのロマン主義をふまえた文芸・評論雑誌『しがらみ草紙』を主宰し、小説『舞姫』や翻訳『即興詩人』(アンデルセン)などを発表しました。キリスト教的な精神文化を取り入れた初期ロマン主義の文芸雑誌『文学界』には、北村透谷の評論『内部生命論』や樋口一葉の小説『たけくらべ』、島崎藤村の詩などが発表されました。和歌でも与謝野鉄幹が東京新詩社を結成し、雑誌『明星』を創刊
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