武士が命を懸けて磨いた「平常心」の正体

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※本稿では、禅の実践である「坐禅」を含め、
 心を整える実践を総称して「瞑想」と表現します。

■瞑想によって「今この瞬間に完全に集中する力」が生まれる


瞑想を続けていると、「いま、この瞬間」に意識が向きやすくなり、
物事をありのままに感じる力が戻ってきます。

それはどこか、「子どもの頃の意識のあり方」を思い出したような感覚。

興味深いことに、
多くの瞑想実践者や禅の修行者は、
「特別な能力を手に入れた」とは言いません。

むしろ、
「新しいものを得たというより、
もともと自分の中にあったものを思い出した」
と表現することが少なくありません。

これは言葉で説明するよりも、実際に体験してみるのが一番分かりやすいでしょう。
 ※YouTubeには様々な瞑想のためのコンテンツが投稿されています。

■瞑想によって「明晰な心」が生まれる


瞑想が心身にもたらす効果は、
近年の脳科学や医学の研究によっても次々と明らかになっています。

例えば、
感情の動きに気づきやすくなることで、
自分自身を客観的に見つめる「メタ認知」が高まります。

また、脳の前頭葉などの領域が活性化することで、
集中力、注意力、記憶力の向上が期待できます。

さらに、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑えられることで、
心身の緊張が和らぎます。

加えて、脳の雑念に関わる回路(デフォルト・モード・ネットワーク)の過剰な働きが落ち着くことで、
思考が整理され、
ひらめきや直感(インスピレーション)も生まれやすくなるとされています。

■『瞑想によって得られた状態』を重んじた武士


武士はどれほど激しい状況の中にあっても、
「心の奥に一本筋の通った静けさ」を保とうとしました。

つまり、
瞑想によって生まれた状態を「平常心」と位置付け、
平時だけでなく、
生と死の狭間にある戦場においても、
この状態であり続けようとしたのです。

なぜなら、
彼らは常に死と隣り合わせ。
戦場では状況が刻一刻と変化し、
その都度、瞬時に判断し、対応しなければなりません。

そのような極限状態において求められるのが、
瞑想によって養われる
「今この瞬間に完全に集中する力」と「明晰な心」だったのです。

ただ、戦時だけこの状態を作ることは不可能です。

武士は
特別な状態で最高のパフォーマンスを上げるためには、
食事・掃除といった普段の当たり前の日常の営みの中から
この状態を育てようとしました。
(=『平常心是道(びょうじょうしんこれどう)』)

高僧である 沢庵宗彭 は、天才剣士の 柳生宗矩 に対し、
心を一つの対象にとどめないこと。

つまり、何かに執着しない『無心』の境地こそが、達人の境地である。
と説いたと伝えられています。

目の前の出来事に囚われすぎれば、
視野は狭くなり、判断も遅れます。

反対に、心が自由であれば、
状況全体を見渡しながら自然に対応できる。

それが禅の目指す境地であり、
剣の極意でもあると考えたのです。

つまり、
武士たちにとって瞑想とは、
単なるリラクゼーション法ではありません。

「平常心」を養うための、まさに命がけの鍛錬。

どのような状況に置かれても心を見失わず、
冷静さと明晰さを保ち続けるための習慣だったのです。
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