認知症の方は、ついさっき起きたことを忘れてしまいます。
ですが、不思議に思ったことはありませんか?
「さっき伝えたことは忘れるのに、なぜ『家に帰りたい』という訴えだけは毎日続くんだろう?」
「なぜ『お風呂に入りたくない』という拒否だけは忘れないんだろう?」
記憶ではなく判断
実はこれ、記憶ではなく、その方の「判断」によるものなのです。
例えば、夕暮れ時。外を見た時、認知症の方はこう考えます。
①ここは大きな建物だ。自分の家ではないことはわかる(認知症の人でもそれぐらいは分かります)。
②しかし、施設に入所した事は忘れている。又は理解できない(認知症の症状)。
③昔から、夜には自分の家に帰るのが当たり前だった(普通のこと、習慣)。
④だから、今すぐ家に帰ろう(判断)。
自分が施設に入所したことや、病気であることは忘れていても、「ここは家じゃない」「夜は家に帰るものだ」という正常な判断力は残っているのです。
いつも入浴を嫌がる人
お風呂も同じです。
①ここは家じゃないという事は分かる(それぐらいは分かります)。
②入所している事や自分一人では入浴できない事は忘れている。又は理解できない(認知症の症状)。
③お風呂は自分の家で入るものだ(普通のこと、習慣)。
④お風呂は家に帰ってから入ろう。知らない所で知らない人と一緒に入りたくない(判断)。
見知らぬ場所で、顔も思い出せない人に「裸になりましょう」と言われたら……。
「自分の家で入るからいい!」と断るのは、むしろ人間として当たり前の判断ではないでしょうか。
認知症の人は全て忘れ、何も分からなくなっているわけではない
認知症の方は、決して「何も分からなくなっている」わけではありません。
「理解できていること」と「忘れてしまっていること」が混ざり合っている状態なのです。その為に混乱したり、普通に考えらた「あれ?」と思う行動を取ってしまうのです。
認知症の影響を受けている事を整理する
「理解できていること」と「理解できていないこと」を整理して、もし自分がその立場だったら?と置き換えてみると、認知症の方の行動はいたって「普通のこと」に見えてきます。
ご家族の方や介護業界の人は、それを「帰宅願望」や「夕暮れ症候群」、「介護拒否」という問題行動として捉えてしまい、悩んでしまうことが多のです。
でも、まずは認知症の特性を知り、その方の「判断」を理解しようとしてみてください。
自分に置き換えて考えてみる
「自分だったらどう思うか」と置き換えて考える。
どうですか?この状況に置かれたら自分でも同じ行動をしませんか?
知らない場所で知らない人に「お風呂入りましょう」と言われたらどうですか?入りませんよね?
それだけで、声の掛け方や、向き合い方が自然と変わってきませんか?
認知症の人の症状は千差万別
認知症の人は一人一人症状が違います。それは、今まで歩んできた人生が一人一人違うからです。性格や価値観も違います。同じ状況に置かれても一人一人判断が違いますし、安心の材料も変わってきます。
もし、認知症のご家族の行動や言動で困っている事があれば、チャットでゆっくりお話しをお聞かせください。一緒に考えましょう。