第13回=第3章(その2):【ペイシェントハラスメント】「終わらない論点のすり替え」

第13回=第3章(その2):【ペイシェントハラスメント】「終わらない論点のすり替え」

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法律・税務・士業全般
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皆さん、こんにちは。
ペイシェントハラスメント(ペイハラ)対応のシリーズ連載は、前回から第13回=第3章に入りました。

この第3章では病院が患者であるAさんの療養型の医療機関への転院調整を進める中で、B氏から様々な揺さぶりを受けることになります。

「その1」では、看護師の電話マナーについて執拗なクレームを申し立て、その要求を私が断ったところでまでお話しさせていただきましたが、今回はその続きとなります。

「なんでB氏の話はそっちの方向に行くのか」と感じる人、「病院がそんな対応じゃそうなるでしょ」と感じる人、様々だと思いますが、読者の皆さんはご自身がこのような事例の当事者になった気分で、「自分ならどうする」と考えながら読み進めてくださると、実際の対応はされなくとも経験値が上がっていくと思います。

それでは続きを進めていきましょう。

【なぜ私を指名した謝罪要求に応じなかったのか】

「その1」では、看護師の電話マナーに対するB氏からのクレームに対し、上長である師長が真摯に謝罪したものの、B氏はさらに「責任者を出せ。TKに謝罪させろ」と要求し、私はその要求を拒否しました。

その理由について、少し詳しく説明したいと思います。

私は、B氏の謝罪要求に対して、
①長男からは以前に「電話をしてくるな」という要求があったこと
②B氏に電話をした看護師は、丁寧に担当者名を名乗り、用件を留守番電話に録音しており、B氏はその録音を聴いて、担当看護師を指名して折り返しの電話をしてきたこと
③電話のマナーについては上長である病棟師長が既に真摯に謝罪しており、社会通念上合理的な範囲での対応が完了していると判断したこと
を理由に、「要求には応じない」と説明しました。

私の説明にB氏は憤慨し「診療を止める」など言いました。

読者の皆さんの中には「TKがここで謝っていれば収まったのではないか」と感じた方も一定数いらっしゃると思います。

しかし、この電話のマナーのクレームに対して、部署部門を越えたところの責任者が出て行って謝罪をすることは、社会通念上合理的範囲の対応と言えるでしょうか?

しかも留守番電話には看護師が自身の名を名乗り、電話をかけた用件まで丁寧に伝えていて、B氏の電話はその担当看護師を指名し、用件を承知した上での折り返しの電話でした。

受けた看護師は、その点をすべてB氏が了解していると理解した上で用件を述べたと思います。
また、その上長である師長が看護師のマナーに関して真摯に謝罪した。
私はこれで病院としては十分な対応をしたと判断しました。

通常のクレームでもそうですが、クレームの原因となった事象の影響の大きさを測って、病院としてどう謝罪をするのかを決める必要があります。

なんでもかんでも院長や事務長が出て謝罪をするのは適切ではありません。

B氏の場合、たとえ私が謝罪をしても、これまでの経過からすれば、きっと私の言動に対して何らかの理由をつけて、院長や事務長に謝罪を要求したと思います。

私のこの一連の対応を、もしB氏が保健所などの第三者機関に通報をして、聴き取りがあったとしても、この経過を説明すれば、おそらくお咎めなしで終結したと思います。

【次の展開】

翌日、また病院の代表電話にB氏から入電がありました。

私から交換台に対し、B氏からの電話は当職以外には取次ぎしないよう依頼していましたが、B氏は「病棟師長から携帯電話に連絡があった」と嘘をついて病棟師長に転送させました。

B氏は、病棟師長に対して
「さっきTKと話したが、看護師が名前を名乗らなかったことと、返事が遅くなったことに対して、どう考えてるか、どう対応してくれるのかを聞きたかったのに、その件は師長が謝罪したからこちらでは対応しないといわれた」
「TKが一方的に頭ごなしに話してきた」
「今後、TKが態度を改めない限り、こちらは患者のことであっても、一切対応しない」
「転院の調整をしていると思うが、行き先が決まって連絡がきたら、電話には出るが面談に行ったり病院に行ったり対応は一切しない
そういうことはすべてTKに判断させる
と一気にまくし立て、一方的に電話を切ったそうです。

病棟師長は不安そうでしたが、私は病棟には紙おむつの立て替え等の負担をかけることになるが、これはB氏が仕掛けてくる揺さぶりであって、病院として転院手続きを進める方針は変わらず、この後のB氏の動向も静観することにしました。

そして、転院受入先の候補となる医療機関が決まり、受入先からご家族との面談をしたいということで、MSWがB氏に連絡をすることになりました。

もう皆さんおわかりだと思いますが、この転院調整に対してもB氏は揺さぶりを仕掛けてきました。
この時点で問題は電話マナーでも紙おむつでもなくなっていました。
次の論点は転院調整そのものでした。
(その3へ続く)

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