第13回=第3章(その1):【ペイシェントハラスメント】「終わらない論点のすり替え」

第13回=第3章(その1):【ペイシェントハラスメント】「終わらない論点のすり替え」

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法律・税務・士業全般
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皆さん、こんにちは。
当ブログのペイシェントハラスメント(ペイハラ)シリーズは、今回から第13回=第3章に入ります。

初日の電話対応が第1章(第11回~計6回)、IC実施までが第2章(第12回~計4回)と5週にわたって経過を紹介させていただきました。

第3章は穏やかに終わったはずのICから、ちょっとしたことで流れが変わって、病院が次々と揺さぶりをかけられる展開です。

次々と変わる個人の言動のスピード感への、組織対応の難しさを浮き彫りなっていくと思います。

そういう時には対応スキルの高い個人の判断に頼ってしまいますが、その個人判断によって発生する責任を、組織が理解して組織の責任として回収していく必要性も伝われば幸いです。

それでは、お話しをすすめていきましょう。

【一週間後】

B氏とのICが終わって一週間経ったころ、病棟からB氏への対応について相談がありました。

相談の内容は、ICの後、貸し出している紙おむつの返却がされず、B氏からも一切音沙汰がないことから、病棟から連絡を取ったそうなのです。

その際、B氏が電話に出なかったため、電話した看護師は留守番電話に自身の名を名乗り、用件のメッセージを残したそうです。

その後、ほどなくしてB氏から「着信履歴と留守番電話を確認した」と折り返しの電話があり、連絡を担当した看護師を指名してきたので、その看護師は「折り返しのお電話ありがとうございます。病棟が立て替えている紙おむつの件ですが…」と応答したところ、B氏は「お前、電話に出て名前も名乗らんのか」と激怒したらしいのです。

看護師はB氏の怒声にショックを受け、ただ電話口で謝ることしかできず、B氏は「お前の上司に電話をかけさせろ」と命じて一方的に電話を切ったそうです。

看護師から報告を受けた病棟師長は、すぐにB氏に電話をしましたが、B氏から電話をしてきた看護師のマナーについて「教育がなっていない」「病院の程度が知れる」等、執拗にクレームをつけ、病棟師長は真摯に謝罪を繰り返したそうですが、最終的にB氏は「TK(私)に電話をさせろ」と要求してきました。

病棟師長はその対応に困り、私に相談をしてきた次第です。

【私の対応】

私は病棟師長から病棟の対応経過を聴き取り、私がこの件でB氏に電話をするという要求には応じないことにしました。

その理由としては、
①B氏からは以前に「電話をしてくるな」という要求があったこと
②B氏に電話をした看護師は、丁寧に担当者名を名乗り、用件を留守番電話に録音しており、B氏はその録音を聴いて、担当看護師を指名して折り返しの電話をしてきたこと
③電話のマナーについては上長である病棟師長が既に真摯に謝罪しており、社会通念上合理的な範囲での対応が完了していると判断したこと
④そもそも、ICで近日中に紙おむつを返却するとB氏本人が約束していたにも関わらず、それが履行されていないこと
⑤たとえ私が要求に応じて電話をしたとしても、B氏からは新たな要求がつきつけられるであろうこと
上記の理由から、私はB氏の要求に応じる必要はないと判断しました。

電話をしなくても、対応しなければB氏から電話がかかってくることは、これまでの対応経過から容易に予想できることでしたし、要求に応じることでB氏に主導権を掌握させたと思わせることは避けたかったからです。

【B氏からの電話】

B氏の要求に応じなかった翌日、予想通りにB氏から私を指名で電話がありました。

B氏は、前日に私から折り返しの電話がなかったことについて憤慨していました。

私はB氏に対して、病棟師長からの対応経過を聴き取りして、折り返して電話をする必要ないと判断したと返答しました。

当然ながらB氏は私の返答に対して激怒し、「なぜその判断をしたのか」「どんな神経でそんな判断ができるのか」と責めてきました。

私は、B氏の要求に応じなかった(「折り返し電話をしなかった」とは言わず、あえてこの言い方をしました)理由について、上記の①~③であると説明しました。

【B氏の反応】

私の説明に対して、B氏はもう当初の問題としていた看護師の電話マナーに対する話題には一切触れず、次は「そんなことをしたら、また(Aさんの)診療が滞ることになるからな!」と凄んできました。

もはやこれでは話になりません。
私は「Bさん、看護師の電話のマナーと患者さんの転院については別の話じゃないですか?」と質しました。

しかし、B氏は「別の話じゃない。診療はこれで止まるからな」と理解しようとせず、一方的に電話を切断したのです。

【経過の記録】

本来、このようなことを言われると、「どうしよう?」となると思いますが、実は私は今回の対応をすれば、こういうことを言ってくるだろうと予想をしていました。

私は当時作成していた本事例の対応記録に以下の通り記録し、関係者に共有しました。

①B氏これまでの言動は、医療安全の介入により少々窮屈にはなったものの、当院では患者への手厚い診療が実施されているだけでなく、紙おむつの貸出等の取り計らいを受けることができており、いろいろと難癖をつけて病院の業務をひっかき回しながら転院を引き延ばそうとする意図を感じ取れる。
②そもそもが、紙おむつの貸出数が増えてきており、一度病棟から連絡したにも関わらず対応されなかったことに端を発したものであり、原因の発端は先方にある。当院としてはこれら工作に惑わされることなく、粛々と転院手続を進めていく。

この対応記録の内容はあくまでも私がこれまでの経験から感じ取ったもので、一部断定的な表現があることをお許しください。
(その2へ続く)

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