地域設計ノートは、障害者 × 社会 × 現場で感じた違和感・好奇心を起点に、地域の中で試せる「新しい関わり方」を設計・提案するための設計ノートです
はじめに
桜や花見の季節に合わせ、地域設計ノート㉖から桜をテーマに、こんなのがあったら面白いのではないかという仕組みを取り上げてきました。
㉖では、”「桜を維持したい。でも人手も予算も足りない」それ、就労支援の作業として回せます — 桜保全を“仕事”に変える設計 —”として、綺麗な桜をいつまでも長く楽しむ・保存するにはどうしたらいいかを扱い、
㉗では、”ゴミを荒らされない地域はつくれる― 天然辛味成分でつくる「鳥獣忌避 × 環境防衛」仕事化モデル ― ”として、綺麗な桜を楽しみながら快適な環境を保つための工夫として、天然辛味成分による鳥獣忌避を取り上げました。
今回の㉘では、その流れをさらに進め、
「ゴミの捨て方そのものをどう設計するか。そこに就労支援としてどう関わるか」
という視点から、廃棄行動と環境維持を接続する仕組みを扱います。
現場で起きていることと設計の着眼点
コンビニのゴミ箱は、地域の中で日常的に利用されている。
店舗にとっては、来店者の利便性を支える設備であり、同時に維持管理の負担を伴う存在でもある。一方で、ゴミの量が想定を超えて溜まり、溢れてしまう場面も見られる。
ここでの論点は、
ゴミの問題が「マナー」ではなく、「負担構造」として設計されていない可能性があることです。
誰が、どこまで、どのように負担するのかが曖昧なまま運用されているため、結果として、設置者側に負担が偏り、環境が維持しきれなくなる構造が生まれています。
設計の考え方:3つの接続点
接続点① 応益負担 × 廃棄行動
ゴミを出す行為に対して、少額の負担を伴わせることで、処理コストを可視化し、公平な負担構造をつくる。
接続点② 環境行動 × 経済循環
ゴミ投入と同時にクーポンを発行し、広告費を原資として還元することで、環境行動にインセンティブを接続する。
接続点③ インフラ運用 × 就労支援 × 行動ログ(地域行動センサー)
ゴミ箱の管理・清掃・運用補助を就労支援の作業として組み込み、地域インフラとして回る仕組みにする。
同時に、このゴミ箱は単なる廃棄設備ではなく、
地域の行動を観測するセンサーとして機能する装置
として位置づける。
具体的には、
・どの時間帯に利用が集中するか
・どの地点で廃棄量が増減するか
・イベント時にどのような変化が起きるか
といった「地域の行動ログ」を取得することができる。
これにより、ゴミ箱は
廃棄インフラ + 地域行動センサー
という二重の役割を持つことになる。
具体モデル/想定される役割/運用イメージ
■ 運用要素
● ゴミ投入時に少額課金
● 同時にクーポンを発行
● メーカー広告費を原資として還元
● ログを取得し、利用状況を可視化
● 時間帯・場所・イベント連動の行動データとして蓄積
■ 役割分担(4者構造)
①地域住民
● ゴミを分別して投入
● 利用料金の支払い
● クーポンの受領・利用 ・適切な利用(過剰投入・不正投入の抑制)
②納入会社(メーカー/機器・広告提供側)
● ゴミ箱機器の提供・保守
● 広告費の拠出 ・クーポン原資の提供
● ログデータの活用(販促・分析)
③設置店舗(コンビニ・小売等)
● 設置スペースの提供
● クーポン利用対応 ・来店導線の確保
● 周辺環境維持への協力
④就労支援センター
● 現場運用の受け皿
● 回収・清掃業務の組成
● 利用者の配置・育成
● 外部との調整(店舗・納入会社)
※ センター内役割分担
職員
● 全体運用管理
● 安全管理 ・作業設計・配置調整
●トラブル対応 ・関係機関との連携
● クーポン発行率の設計・調整(納入会社と協議)
● 対象ゴミ範囲・対象カテゴリの設定調整
● 納入会社との運用条件の協議(広告・還元設計)
● ゴミ箱機器業者との連絡・保守調整
センター利用者
● ゴミ回収補助 ・清掃・点検作業
● 利用者への簡易案内 ・分別補助
● 啓発活動
※ 補足
・4者構造は「社会側の役割分担」
・センター内役割は「内部運用構造」
導入を検討してみてほしい現場/応用可能な支援の場
この設計は、単なるゴミ箱の設置ではなく、地域行動データを取得するインフラの配置という側面を持っています。
そのため、導入環境によっては、
・人の流れの把握
・時間帯別の行動傾向の把握
・イベント時の行動変化の可視化
といった分析にも活用可能と思われます。
まず、この設計の導入を検討してみてほしい場所は、
■ 想定環境
コンビニ・小売店舗周辺 ・公園・観光地 ・イベント会場 ・人の滞留が発生する公共空間など、
一時的にゴミ量が増加し、設置者側の負担が顕在化しやすい環境です。
例えば、
季節・イベント文脈での活用 ・花見会場(桜シーズン) ・地域祭り ・音楽フェス・スポーツイベントはいかがでしょうか?
これらの場では、短時間に大量のゴミが発生しやすく、運営側の回収負担や、散乱による景観悪化が問題になりやすいと思います。
そこに、有料ゴミ箱を設置することで、
● ゴミ排出のコントロール
● 回収コストの一部回収
● 環境維持の仕組み化
が可能となり、イベント終了後の「大量のゴミ散乱」という状態を未然に防ぐことが期待できる。
また、これまで話題になることのあった「有名人によるゴミ拾い」のような事後対応ではなく、
事前に散乱を抑制する構造へと転換する視点
として位置づけることもできる。
特に、来訪者と設置者が一致しない場において、利用と負担の関係を再設計する手段として有効と考えられます。
また、本設計は就労支援に限らず、
■ 応用可能な支援領域
● 生活介護
● 生活訓練
● 就労移行支援
● 就労継続支援
などの支援の場において、
■ 接続される作業
● 清掃
● 管理・補助運用
といった作業を、地域インフラと接続する形で展開することが可能です。
発想の起点
あるとき、画期的とも言える「ゴミの捨て方」の夢を見ました。
夢の中では、ゴミの回収ボックスにゴミを入れるのですが、そのボックスを開けるにはお金が必要でした。投入されたお金はどんどんプールされ、そのプールされた資金からゴミ処理費用が賄われているようでした。
金額がどのように決まっているのかは分かりませんでしたが、おそらくゴミの種別に応じて設定されているのだろうと感じていました。
そのシステムは、試験導入されたばかりのようでしたが、夢の中で私は、「処理費用負担の不均衡が解消されるだろうから良い仕組みだ」と呟いていました。
一方で、その話を聞きながら、あるいは目が覚めてから、「所属している会社のゴミ処理費用は会社が負担してほしい」と感じている自分もいました。
この夢をきっかけに、現実のコンビニのゴミ箱を起点にして、実際の社会の中でどのようにこの仕組みを実現できるかを考え始めました。
コンビニのゴミ箱には、「家庭ゴミの持ち込みは控えてください」と書かれています。けれど実際には、ゴミ箱がいっぱいになっている場面を見かけることがあります。
自分自身も、車の移動中に出た飲料の空き缶やお菓子の袋、ティッシュなどを捨てています。
これは家庭ゴミなのか、
それとも利用の範囲内なのか。
どこまでが許される利用なのか、明確には分かりません。
この曖昧さの中で、善意に依存した運用が続いています。その結果として、設置者側に負担が偏り、ゴミ箱が溢れ、環境が崩れていきます。
この曖昧さを構造として整理し、負担を分かち合う仕組みにできないか。
もしそれが実現できれば、ゴミ箱は「負担の源」ではなく、「地域環境を整える装置」へと変わるのではないか。
さらに、その運用や条件整備の中に、就労支援の作業を組み込むことはできないか。
そうした発想から、この設計は立ち上がりました。
ご相談について/一緒につくる仲間を探しています
この仕組みは、
「有料ゴミ箱(課金×クーポン×ログ取得)という装置を中心に、企業と地域が協働で回すインフラ」です。
そのため、特に次の2者が重要になります。
① 有料ゴミ箱を開発・提供してくれる企業
・課金(開閉時の少額決済)
・クーポン発行(広告連動)
・ログ取得(時間帯/場所/イベント連動)
を一体で実装できる、
「地域センサーとして機能するゴミ箱」
を一緒に設計・開発していただける企業を探しています。
② 協賛・共同出資で支える企業
ゴミ処理費用の一部を、
・広告費(クーポン原資)
・協賛金/共同出資
として負担し、
「廃棄行動 × 経済循環」
を一緒に回していただける企業を強く募集しています。
■ こんな企業・チームと相性が良いです
・機器開発(IoT/決済/自販機系)
・小売/コンビニ/飲料・食品メーカー
・広告/販促(クーポン・来店導線)
・データ活用(人流・行動分析)
③ 導入を検討したい側(施設・現場)
・コンビニ
・小売店舗
・公園
・観光地管理
・イベント運営者
ゴミ処理の負担を軽減しながら、環境を維持したいと考えている現場の方。
④新しい業務モデルとして取り入れたい側(福祉事業所)
・就労移行支援
・生活介護
・生活訓練
・就労継続支援
ゴミ回収補助 ・清掃・点検作業 ・利用者への簡易案内 ・分別補助・啓発活動など地域インフラ運用と接続する作業モデルとして、この仕組みを取り入れてみたい事業所。
■ メッセージ
正直に言うと、この仕組みは、夢から得た思いつきの設計です。
ただの思いつきではあるのですが、「これは、うまくいくのではないか」というバイブスは強く感じています。
「これ、面白いな」
と感じていただける企業や個人と、 小さく試して、形にしていきたいと考えています。
・有料ゴミ箱を一緒に作ってみたい
・クーポンや広告で関わってみたい
・実証フィールドを提供できる
そんな方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。
かむっくでは、現場の困りごとを起点に、
素材・工程・役割を組み替える設計のご相談を受け付けています。
・地域資源の活用に課題がある
・作業はあるが仕事になっていない
・維持管理が回らない
といった現場に対して、
制度・人・作業をつなぎ直し、動く仕組みに再構成します。