せんせいのはんこ

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屋根が飛ばされた
オンボロアパートには
幼稚園から小学校3年の途中まで
暮らしていた。


その時の小学校の担任は
大里(仮名)先生という
女性だった。
大きな体と厳しい感じの表情が印象にある。

当時、私は食が細く
ガリガリの子供だった。
そのせいか、
よく風邪をひいていた記憶がある。

食が細いので、給食はちょっと量が多いと思って、少し苦手だった。
家ではごはんを残せるが、先生が怖いから、学校では残せなかった。
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼
ある日先生は
「給食を残さず食べて、おかわりした人には、コレをあげます」
それは、わら半紙でできた
細い紙切れだった。

そして、給食時間
クラスのリーダー的な男子が
おかわりをした。

先生は、わら半紙の細い紙の先に
“大里”のはんこを押して、リーダーに手渡した。
「一番乗り!」
リーダーはその紙を誇らしげに、見せびらかした。

その日から、児童が競うように
おかわりをし、大里印を集め出した。

何となく厳しいと感じていた先生が、その大里印を渡す時は、かすかに笑顔になる。

私も大里印が欲しくなった。

頑張って給食を食べ、おかわり。
初めての大里印。
「いやさかくん、頑張ったね」

嬉しかった。

小学生になって
初めて褒められたのかもしれない。

それ以来、
大里印欲しさに
おかわりを続け、気がつけば
食べることが好きになっていた。

好き嫌いもほとんどなく
風邪も
あまりひかないようになった。

3年の途中で転校することになり、
それ以来、大里先生にはお会いしていない。

しかし
あの大里印が無ければ、
ひ弱で小柄な大人になっていたのかもしれない。

少し厳しい先生の見せる
微かな笑顔と
大里印

大里先生
あなたのおかげで
私は
食べ物を美味しく残さず食べられる大人になれました。
感謝しております。
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現物は無いが
あの
集めた大里印の束は
私の心にしまってある宝物だ。

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