「本を読んでも変われない」 人に足りない、たった一つの視点

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はじめに

「今年は 50 冊本を読みました!」「年間 100 冊が目標です!」
読書好きの方のブログや X(Twitter) を見ていると、このような記述を見かけることがあります。
私は本を読むのがあまり早くないので、すごいなーと思う反面、少し気になることがあります。

・読んだ本の内容って、どれくらい覚えているんだろう?
・本で学んだことを活かして、仕事や人生をどんなふうに切り拓かれているんだろう?

「うっ...」と思われた方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。かつての私もそうでした。

今思うと恥ずかしくて顔から火が出そうですが、「たくさん本を読んでるんだから、仕事も人生も自分は人よりもうまくいくはずだ。」そんなふうに思い上がっていた時期がありました。
しかし、読書で仕事や人生を切り拓くための本質は、まったく別のところにあったのです。

この記事では、読書を仕事や人生の変化につなげるために必要な たった一つの視点 について、考えてみたいと思います。

なぜ本を「読むだけ」では意味がないのか

■ 明治の偉人が教えてくれた「実学」の大切さ
本を読むのはいいことだ。
この主張に対して異論を唱える人はそれほど多くないでしょう。
しかし、本を「読むだけ」でいいのかと問われると、首を傾げる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
ではなぜ本を「読むだけ」では不十分なのでしょう。

この問いに対する答えを、150年以上も前に福沢諭吉が示してくれています。
『学問のすすめ』の中で、彼は次のような趣旨のことを述べています。

・実生活に活かせるものはすべて「学問」である
・「学問」を活かして事を成し、社会に貢献せよ

『学問のすすめ』といえば「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という人間皆平等の言葉が圧倒的に有名ですが、実は続きを読むと、この言葉の印象はガラッと変わります。
人は生まれたときには、貴賤や貧富の区別はない。
ただ、しっかり学問をして物事をよく知っているものは、社会的地位が高く、豊かな人になり、学ばない人は貧乏で地位の低い人となる、ということだ。
すなわち、福沢諭吉が本当に言いたかったのは、「人はどんな場合でも常に平等であるべきだ。」ではなく、「ひとかどの人物になるためにしっかりと学問に励みなさい。」ということだったのではないでしょうか。

そして、福沢諭吉が重視したのは「実学」でした。
どんなに高尚な知識でも、実際の生活や仕事に活かせなければ意味がない。むしろ、身の回りの問題を解決し、社会に貢献できる知識こそが真の学問「実学」だ、というのです。
現代風にもう少し噛み砕いて言えば、どんなに多くの本を読んで知識を身につけたところで、その内容を実際の仕事や人間関係、人生の課題解決に活かせなければ、それは「実学」ではないということになります。

■ 現代の「ファスト読書」の落とし穴
ここで、冒頭の問いに戻りましょう。

・読んだ本の内容って、どれくらい覚えているんだろう?
・本で学んだことを活かして、仕事や人生をどんなふうに切り拓かれているんだろう?

これはまさしく、私が『学問のすすめ』を読んでハッとさせられたこと、すなわち「読書を「実学」として活かせているのか?」という問いだったのです。

現代は情報過多の時代です。
新刊書籍は毎日のように発売され、速読術や要約サービスも充実しています。
さらに ChatGPT をはじめとする生成 AI の登場によって、本の内容をわかりやすくまとめたり、ビジュアライズしたりすることも簡単にできるようになりました。

しかし、この「速く、たくさん、手軽に」読むことを重視する風潮には、大きな落とし穴があります。

便利なサービスを利用することでなんとなく分かった気になれてしまうので、表面的な理解で満足してしまい、本の内容を自分なりに深く咀嚼したり、時間をかけて自分の血肉にしようとしたりする経験が乏しくなってしまうのです。
その結果、新しい知識を次々と獲得して楽しむこと、すなわち「消費」することはできても、獲得した知識を活かして何かを成すこと、すなわち「活用」することができなくなってしまうのです。

どれだけ速く大量に本を読めても、その内容を仕事や人生に活かせなければ意味がありません。

100 冊の本をさらっと読み流すよりもむしろ、1 冊の本を深く読み込んで実践できるようになる方が、はるかに価値があるのです。

読書を「活かす」ために重要なこと

ではどうすれば、読書を実生活に「活かす」ことができるでしょうか。巷にはさまざまなノウハウがあると思いますが、この記事ではあえて 1 つに絞りたいと思います。

本を読み始める前に、読書の「目的(その本から何を得たいのか?)」を設定する

「たったそれだけ?」と思われるかもしれませんが、読書目的を設定することには以下のようなメリットがあります。

1. 本の内容を忘れにくくなる
2. 本の内容を実践しやすくなる
3. 読書のタイパ/コスパが良くなる

順に見ていきましょう。

■ メリット 1:本の内容を忘れにくくなる
まず第一に、本の内容を忘れにくくなります。

人の記憶力はそれほど大したことありません。
「何のために読むのか」を明確にせずに本を読み始めてしまうと、書いてあることすべてが重要に思えてしまい、結果的に何も覚えていない、なんてことになりかねません。

反面、「何のために読むのか」が明確になっていれば、それに関連する箇所だけを覚えておけばいいので、思い出せる可能性も高くなります。

■ メリット 2:本の内容を実践しやすくなる
第二に、本の内容を実践しやすくなります。

たとえ読んだ本の内容を覚えていたとしても、「どのように使えるか」がイメージできなければ、実生活に活かすのは難しいでしょう。
事前に目的を設定しておくことで、このイメージを想起しながら本を読むことができ、読後の活用がスムーズになります。

■ メリット 3:読書のタイパ/コスパが良くなる
第三に、読書のタイパ/コスパが良くなります。これは少しイメージしづらいかもしれません。

読書の目的を設定するとはつまり、「読書を通して獲得したい知識をあらかじめ決めておく」ということです。
これは言い方を変えれば、「獲得したい知識が十分得られたのであれば、途中で読書をやめても構わない」ということでもあります。

本の素晴らしい特徴の一つは「いつでも、どこからでも、好きなように」読めることです。
あなたの目的や状況に応じて、必要な部分だけを読んだり、何度でも読み返したりできる。
実践するには多少の慣れが必要ですが、この柔軟性を活かせるようになれば、効率的かつ効果的に読書ができるようになり、読書のタイパが劇的に向上します。

また、本を買う前に目的を設定しておけば、書店で内容をざっと見たときに目的に合っているかどうかが何となく判別できるので、「ハズレ本」を購入する可能性も低くなります。
結果的に、自分に必要な本を買える可能性が高くなり、読書のコスパも高くなるのです。

今日から試せる小さな一歩

目的を設定することのメリットについて、お分かりいただけたでしょうか。まずは今読んでいる本、これから読む予定の本で構いません。

「この本から何を得たいのか?」を付箋に 1 行書いて、目につくところに貼っておく

これだけで、読書の質は大きく変わるはずです。

ちなみに私は、浅田すぐるさんが開発された「紙1枚」のフレームワークを使って本の内容を整理することで、目的設定を実践しています。
気になる方は浅田さんの著書『早く読めて、忘れない、思考力が深まる 「紙1枚! 」読書法』でぜひ学んでみてください。

生成 AI の登場で、世の中のスピードは一段と加速しました。
「仕事や人生に必要な知識を素早く獲得して実践し、トライ&エラーを繰り返す」ことができるスキルは、この先のキャリアを切り拓いていく上での強力な武器になるでしょう。
まずは今日、1 行書いてみるところから、実践を始めてみてください。

おわりに

いかがだったでしょうか。「本を読んでも変わらない」人に足りないたった一つの視点とは、「実生活に活かすために読書をする」という視点でした。
それがどういうものかについて、少しでも解像度が上がったなら幸いです。

ただ最後に、一点だけフォローさせてください。

読書は必ずしも実生活に活かすためだけにするものではない

ここまでの内容を全否定するような主張で恐縮ですが、この記事で書いてきたのはあくまでもビジネス書などの実用書に関する読み方であり、小説などは対象外です。
小説などを読むことは「人間観」を形成する上で非常に重要であり、実践とはまた違った意味があるのですが、それについては別の機会に記事にできればと思っています。

なお、「そもそも自分にはどんな本が必要なのか分からない」という方のために、「処方選書カルテ」というサービスをスキルマーケットでリリースしました。
この記事を読んで何か響くところがありましたら、お気軽にご相談いただければと思います。


最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
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