中小企業でよくある労務リスク4選!

中小企業でよくある労務リスク4選!

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法律・税務・士業全般
 「うちは大きなトラブルもないし、労務管理は問題ないはず」と考えている会社でも、実際に確認してみると、労働条件通知書、36協定、残業代、有給休暇、就業規則などに不備が見つかることがあります。
 労務リスクは、普段は表面化しにくいものです。しかし、従業員とのトラブル、退職者からの請求、労基署調査などをきっかけに、一気に問題化することがあります。
 この記事では、中小企業が特に見落としやすい労務リスクを5つ紹介します。

1 勤怠管理が曖昧になっている

 労務管理の土台になるのが、日々の勤怠管理です。
 労働時間を正しく把握できていなければ、残業代の計算、36協定の上限管理、年次有給休暇の管理なども正確に行うことができません。つまり、勤怠管理が曖昧な会社では、さまざまな労務リスクが連鎖的に発生しやすくなります。
 例えば、出勤簿に押印するだけで始業・終業時刻を記録していない、実際の労働時間を従業員の自己申告だけで管理している、休憩時間を実態どおりに把握していない、といったケースがあります。また、始業前の準備、終業後の片付け、持ち帰り仕事、業務用チャットへの対応などが、労働時間として十分に把握されていないこともあります。
 特に注意が必要なのは、「会社としては残業を命じていない」という場合でも、実際には業務上必要な作業が行われているケースです。管理者が黙認していたり、業務量から見て所定時間内に終わらない状態が続いていたりすると、後から労働時間として問題になる可能性があります。
 勤怠管理が曖昧なままだと、未払い残業代の請求を受けたときに、会社側が実際の労働時間を説明することが難しくなります。また、36協定の範囲内で時間外労働が行われていたか、年5日の有給休暇を取得できていたかといった点についても、確認が困難になります。
 勤怠管理は、単に出勤日を把握するためのものではありません。会社が従業員の労働時間を適切に管理し、法令違反や労務トラブルを防ぐための重要な仕組みです。
 「昔からこの方法でやっている」「少人数だから大丈夫」と考えるのではなく、始業・終業時刻、休憩時間、残業時間を客観的に確認できる状態になっているかを見直しておくことが重要です

2 労働条件通知書・雇用契約書の内容が不十分

 労務リスクの中でも、意外と見落とされやすいのが、労働条件通知書や雇用契約書の不備です。
 採用時に「給与はいくらか」「勤務時間は何時から何時までか」「休日はいつか」といった基本的な条件を説明していても、それを書面できちんと明示できていないケースがあります。また、入社時に一度作成したきり、何年も見直していない会社も少なくありません。
 労働条件通知書や雇用契約書は、単なる入社時の事務書類ではありません。会社と従業員の間で、どのような条件で働くのかを確認するための重要な書類です。後になって「聞いていた条件と違う」「残業の扱いを説明されていない」「契約更新について知らなかった」といったトラブルが起きたとき、会社側が説明するための根拠にもなります。
 特に注意したいのは、パート・アルバイト、契約社員などの非正規雇用の方について、契約内容が曖昧になっているケースです。勤務日数、勤務時間、契約期間、更新の有無、退職に関する事項などが不明確なままだと、後から認識の違いが生じやすくなります。
 また、近年は労働条件明示のルールも見直されており、就業場所や業務内容の変更の範囲、有期契約労働者の更新上限など、明示すべき内容にも注意が必要です。昔のひな型をそのまま使い続けている場合、現在の法令に沿っていない可能性があります。
 労働条件通知書や雇用契約書に不備があると、すぐに大きな問題になるとは限りません。しかし、退職時のトラブル、未払い賃金の請求、契約更新をめぐる争いなどが起きた場合、会社側の説明が難しくなることがあります。
 入社時にきちんと説明しているから大丈夫」と考えるのではなく、実際に書面として必要な内容が記載されているか、現在の法律や会社の運用に合っているかを確認しておくことが重要です。

3 年次有給休暇の管理ができていない

 年次有給休暇は、正社員だけに発生する制度ではありません。パート・アルバイトであっても、一定の要件を満たせば年次有給休暇は発生します。
 しかし、中小企業の労務管理では、正社員の有給休暇は管理していても、パート・アルバイトの有給休暇までは十分に管理できていないケースがあります。特に、勤務日数が少ない方、シフト制で働いている方、入退社が多い職場では、付与日数や取得状況の管理が曖昧になりやすいです。
 また、年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員については、会社が年5日の有給休暇を確実に取得させる必要があります。この対象者には、正社員だけでなく、要件を満たすパート・アルバイトも含まれます。
 さらに、会社は年次有給休暇管理簿を作成し、従業員ごとに有給休暇の取得状況を管理する必要があります。有給休暇の付与日、取得日数、残日数などを把握できていない場合、気づかないうちに法令違反の状態になっている可能性があります。
 有給休暇の管理不備は、普段は表面化しにくいものです。しかし、退職時に「有給休暇が残っているはずだ」と言われたり、労基署調査で管理状況を確認されたりした場合に、問題が明らかになることがあります。
 「パートだから有給はない」「忙しい時期は取らせなくてもよい」といった誤解が残っていると、従業員とのトラブルにつながりかねません。正社員だけでなく、パート・アルバイトも含めて、年次有給休暇を正しく付与し、取得状況を管理しておくことが重要です。

4 固定残業代の運用が適切でない

 未払い残業代のリスクで特に注意したいのが、固定残業代の運用です。
 固定残業代とは、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う仕組みです。制度として導入すること自体は可能ですが、適切に設計・運用されていなければ、「固定残業代を払っているから残業代は不要」とはなりません。
 例えば、給与明細や雇用契約書で、基本給と固定残業代の区分が明確になっていないケースがあります。また、固定残業代が何時間分の残業代にあたるのかが明示されていない場合もあります。このような状態では、従業員から見て、自分の給与のうち、どの部分が通常の賃金で、どの部分が残業代なのか分かりにくくなります。
 さらに、固定残業代を支払っていても、実際の残業時間が固定残業代に含まれる時間数を超えた場合には、超過分の残業代を別途支払う必要があります。ここを見落としてしまうと、知らないうちに未払い残業代が積み上がってしまう可能性があります。
 特に退職後に、過去の残業代をまとめて請求されるケースでは、会社にとって大きな負担になることがあります。日々の金額は小さく見えても、複数月分、場合によっては複数年分となると、未払い額が大きくなることもあります。
 また、「管理職だから残業代は不要」と考えている会社も注意が必要です。役職名が「課長」「店長」「マネージャー」であっても、労働基準法上の管理監督者にあたるかどうかは、実際の権限、勤務の裁量、待遇などを踏まえて判断されます。単に役職が付いているだけで、残業代の支払いが不要になるわけではありません。
 固定残業代を導入している会社は、雇用契約書、給与明細、就業規則、実際の勤怠管理が整合しているかを確認することが重要です。「固定残業代を払っているから大丈夫」と考えるのではなく、制度設計と日々の運用が適切かどうかを定期的に見直しておく必要があります。

5 まとめ

 労務リスクは、日常業務の中ではなかなか見えにくいものです。
 労働条件通知書や雇用契約書を作成している、36協定を提出している、就業規則を整備している、という会社であっても、実際に確認してみると、現在の法律や会社の運用に合っていないケースがあります。
 特に、労働時間の管理、残業代の計算、年次有給休暇の管理、就業規則の運用などは、少しの認識違いや管理漏れが、後々大きなトラブルにつながることがあります。
 労務リスクは、すぐに表面化するとは限りません。しかし、従業員とのトラブル、退職者からの請求、労基署調査などをきっかけに、突然問題になることがあります。そのときに、会社として適切に説明できる資料や運用が整っていなければ、対応に大きな負担がかかってしまいます。
 大切なのは、問題が起きてから慌てて対応するのではなく、問題が起きる前に、自社の労務管理の状態を確認しておくことです。
 「うちは大丈夫だと思っていた」という会社ほど、実際には見落としが残っていることもあります。労務管理に少しでも不安がある場合は、早めに確認し、必要に応じて改善しておくことをおすすめします。
 当事務所では、元労働基準監督官・社会保険労務士の視点から、労務リスク診断を行っています。労働条件通知書、雇用契約書、36協定、勤怠管理、残業代、有給休暇、就業規則などを確認し、トラブルにつながりやすいポイントを整理いたします。
 「自社の労務管理に問題がないか確認したい」
 「労基署調査に備えて、事前にリスクを把握しておきたい」
 「従業員トラブルが起きる前に、必要な見直しをしておきたい」

 このような方は、ぜひ一度ご相談ください!



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