退職後に元従業員から「退職証明書を出してほしい」と言われた経験はありませんか?実は、退職時の証明は労基法で定められた企業の義務で、知らずに対応を誤ると、労基署トラブルや信用低下につながります。本記事では、退職時の証明について、解説します。
1 退職時の証明とは
退職後、従業員は次の就職活動や各種手続きのために、どのような期間、どのような仕事をしていたなどを客観的に証明する必要があります。しかし、これらの情報は会社側が管理している情報で、従業員個人では証明が困難です。そこで労基法は「請求があれば会社は証明しなければならない」と義務づけています。
2 記載項目
記載項目は、以下の5つです。
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(1) 使用期間
⇒在職期間です。
(2) 業務の種類
⇒「事務職」「技能職」「営業職」等の、業務の種類です。
異動があった場合、すべて記載する必要がありますが、従業員が一部で良いと言った場合は、一部のみ記載します。
(3) 事業における地位
⇒「部長」「課長」等の、役職です。
(4) 賃金
⇒「基本給25万円、皆勤手当1万円」等の賃金額です。
(5) 退職の事由
⇒「自己都合」「退職勧奨」「定年退職」等の退職理由です。
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上記の中から、従業員が証明してほしいと請求してきた項目について、記載します。記載を希望していない項目については、記載してはいけません。どのような項目について証明が欲しいのか、詳細に確認しましょう。
3 実務対応
多くの場合、従業員から、「退職証明が欲しい。」と電話があります。まずは、使用目的を確認します。次の職場へ提出するケースもあれば、資格試験の受験に必要なケースもあり、目的によって、記載が必要な項目も変わるからです。また、どこかへ提出するのであれば、提出先からフォーマットをもらってないかも併せて確認します。
これをしないと、作成し、送付した後に、「欲しいものと違う」となった場合、二度手間が発生してしまいます。
4 時効
とはいえ、退職者の資料を、いつまでも保管しておくこともできません。退職時の証明については、時効があり、「退職時から2年間」で、時効となります。もっとも、「退職してから2年過ぎているから、証明しない。」と、ただちに断るのではなく、状況を確認し、可能であれば、証明書を作成してあげることも、良い対応です。
5 まとめ
退職時の証明について解説しました。当事務所では、退職時の証明のみならず、労務管理について、ご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。元労基署職員(労働基準監督官)の視点から、適切なご提案をさせていただきます。