先日、漢方相談にいらっしゃった方から、以下のようなお悩みを伺いました。
「腎を補う漢方を飲むと疲れは楽になる。でも、多い量を飲むと胃がもたれてしまう。本当は胃腸の漢方も一緒に飲めればいいのだけれど、経済的にそこまでは……」
この方の今の状態は、漢方では「脾陰虚(ひいんきょ)」という言葉で読み解くことができます。
脾陰虚(ひいんきょ)とは、単なるエネルギー不足(気虚)ではありません。 胃腸の潤い、つまり「ガソリンや冷却水」が枯れて、エンジンが空焚き状態になっているイメージです。
潤いがないために、身体の熱を冷ませず、粘膜も柔軟性を失っています。
例えば、以下のような「5つのサイン」に心当たりはありませんか?
1.お腹は空くのに、食べ始めるとすぐ満腹
お腹がグーッと鳴って空腹感があるのに、いざ食べ始めると一口二口で「もういい」と感じてしまう。
これは、乾燥して硬くなった胃の粘膜が、食べ物が入ってきても柔軟に広がることができず、受け入れ拒否を起こしている状態です。
2.口は乾くのに、水をごくごく飲めない
喉は渇くのに、胃腸(脾)の処理能力が低いため、水分を一度に吸収できません。
「口の中がネバつく」「夜間に喉が渇いて目が覚める」「水を飲むとお腹がタポタポする」といった症状が目安です。
3.便がコロコロ、または細い
腸を滑らかに動かす「潤滑油」が足りない状態です。
コロコロ便や、出す時に痛みを伴う乾燥便。これは「脾」が司る腸の筋肉の動きが鈍くなっているサインでもあります。
4.舌が赤く、表面に「ひび割れ」がある
鏡で舌を見てみると、苔(こけ)が少なく、地肌が赤く見えたり、ひび割れがあったりしませんか?
これは体内の水分が枯れ、巡りが悪くなって熱がこもっている証拠です。
5.夕方になると「手足のほてり」や微熱感
体内の冷却水が足りないため、夕方になると体温調節が難しくなります。
「夕方から手のひらや足の裏が妙に熱い」「顔だけポッポと上気する」といった状態は、身体が潤いを求めているサインかもしれません。
もし思い当たるところがあるなら、無理に漢方薬を増やさなくても、日々の食事で「脾の粘膜」を保護し、直接的に「陰(うるおい)」を補うことができます。
特におすすめなのは、以下の食材です。
オクラ・なめこ・レンコン: 「ねばねば成分」が胃腸の粘膜を優しく保護します。
山芋(山薬): 漢方薬にも使われる「滋養強壮」と「潤い」の王様です。
かぼちゃ・さつまいも: 胃腸を整えながら、自然な甘みで気を補います。便通が気になる方にも最適です。
豆類: 穏やかに「陰」を補います。
玄米: 栄養豊富ですが、場合によっては胃の負担になることもあります。白米と混ぜるか、お粥にして食べてください。
これらの食材を味方につけて、まずは脾(胃腸)という「エンジン」に潤いを取り戻してあげましょう。
そして、食材を工夫しても、それでも力が及ばないときは、漢方薬や気功の力を借りて、まずは脾(胃腸)を内側から調えてましょう。
脾(胃腸)が整えば、今飲んでいるお薬の力も、よりスムーズに身体に巡り始めますよ😊