「特に大きな問題が起きているわけではないのに、なぜか不安が消えない」
「このままで大丈夫なのだろうか、と常に落ち着かない感覚がある」
こうした、言葉にしにくい「正体のわからない不安」を、長年ひとりで抱え続けている方は少なくありません。
精神分析家のマイケル・バリント(1896-1970)は、この状態の根底にあるものを、人生の非常に早い時期に生じた
「心の土台の揺らぎ」として捉えました。
1. こころの土台:「安心して頼れる感覚」の重要性
バリントは、この不安のルーツを、乳幼児期の体験にあると考えました。 本来であれば「安心して100%頼れるはずの存在」との間に、何らかの理由でわずかな「ズレ」が生じてしまうことがあります。
十分に守られているという実感が持ちにくかった
甘えたいときに、その感情をうまく受け止める「器」が十分に機能していなかった
突発的な環境の変化などが、心の地盤を揺らしてしまった
こうした体験は、本人の自覚がないほど深い層に、小さな「ひび割れ」のような感覚を残すことがあります。
すると大人になってから、明確な原因がないのに湧き上がってくる「将来への恐れ」や「安心感そのものの欠如」として現れるのです。
一つの不安が解決しても、すぐに別の不安が芽生えてしまう。それは、今起きている出来事が原因なのではなく、家を支える「基礎(土台)」そのものを整える必要があるというサインと言えるかもしれません。
2. 東洋医学の視点:「腎(じん)」と不安の関係
この心理学的な視点は、東洋医学の理論における「腎」の概念と非常に近いものがあります。
東洋医学において「腎」は、生命力の源であり、私たちの「根っこ」を支える非常に深い臓器です。いわば、生命の地盤そのものです。
「腎」がしっかりしていると、人はどっしりとした安心感を持ち、困難に立ち向かう胆力が生まれます。
しかし、この「腎」の気が不足したり、乱れたりすると、理由のない恐怖感や、「足元がふわふわするような不安」を感じやすくなります。
心理学が「過去の体験」からアプローチするのに対し、東洋医学は「宇宙のエネルギー(気の充実度)」からアプローチします。
手法は異なりますが、「表面的な感情の波ではなく、もっと深いレベルにある生命の安定感」を扱っている点では、驚くほど共通しています。
3. 「安心の感覚」を育て直すために
「なんとなく不安」が続くとき、それはあなたの性格が弱いからでも、努力が足りないからでもありません。ただ、心の土台が少しだけエネルギーを必要としている状態なのです。
無理にすぐ解決しようとしたり、不安を力づくで消そうとしたりすると、かえって土台に負荷がかかることもあります。
まずは、少しずつ「安心の感覚」を積み直していくことが大切です。
自分を否定せず、リラックスできる時間を意識的に持つ
安心できる人との関係性を、ゆっくりと育む
身体の巡りを整え、内側から土台を補強する
この「深いレベルの不安」に対し、二つのアプローチが有効です。
一つは、漢方薬による「腎」のサポートです。不足しているエネルギーを補い、身体の芯からどっしりとした安定感を養います。
もう一つは、経絡気功による調整です。身体の奥深くに刻まれてしまった緊張をほどき、気がスムーズに巡る感覚を取り戻すことで、本来持っている安心感を呼び覚ましていきます。