「Lunaの森でお茶をすると…」
そこは、見えない存在たちと静かに向き合いながら、
自分の心の奥に触れていく場所。
カフェLunaの窓から外を眺める。
桜は、もう満開ではなかった。
花びらは風に乗って舞い、
その向こうには、やわらかな青葉が顔を出しはじめている。
春へと移ろう、途中の景色。
あたたかくなりきらない空気は、どこか少しだけ冷たくて、
肌に触れるたびに、季節の名残を感じさせる。
私はその景色を、名残惜しむように見つめていた。
―もう、戻れないのかもしれない。
そう思ったとき、ふわりと、冷たい気配が流れ込んできた。
振り向くと、そこにいた。
白く、淡い光に包まれた存在。
まるで、この場所だけがほんの一瞬、冬へと戻ったかのような静けさ。
『雪の天使』。
触れれば消えてしまいそうなほど儚いのに、その存在は、
はっきりとここに在った。
窓の外の景色を、その天使もまた、静かに見つめている。
まるで、去っていく季節を、そっと見送っているかのように。
その横顔に、自分の心が重なる。
変わっていくことを知っている。
もう、同じ場所にはいられないことも分かっている。
それでも―
少しだけ、怖い。
その怖さを、なかったことにしようとしていた自分に気づく。
『雪の天使』は、何も言わない。
ただ、そこにいるだけで、その静けさが、すべてを受け止めているようだった。
―あなたは、もう受け取っている。
言葉ではないのに、そう伝わってくる。
これまでの中で、いくつもサインはあった。
でもそのたびに、ほんの少しだけ、目を逸らしてきた。
怖かったから。
変わることが。
選ぶことが。
今の自分ではいられなくなることが。
窓の外では、桜の花びらが、またひとひら舞い落ちる。
その先には、もう新しい葉が芽吹いている。
戻ることはできない。
でも、それは失うことだけではないのかもしれない。
『雪の天使』は、静かにその景色を見つめ続けている。
急かすことも、導くこともなく、
ただ―
“そのままでいい”と伝えるように。
怖さを感じている自分も、ここにいていい。
そう思えたとき、胸の奥にあった硬さが、少しだけほどけていく。
怖さが消えたわけじゃない。
それでも―
その怖さごと、抱えたままでもいいのかもしれない。
ほんの少しだけ、前に進んでみようと思えた。
『雪の天使』は、
やさしく溶けるように、光の中へと消えていく。
まるで―
役目を終えたかのように。
雪の天使がいなくなったカフェには、静かに、
あたたかな空気が戻っていました。
あなたがその一歩を踏み出したくなったときに、
そっと寄り添うリーディングがあります🌿
Maya Toyoka