忘れられない人を、少しずつ手放すまで(第3話)

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コラム
「最後にもう一度だけ」がやめられない

もう連絡しない。

そう決めたはずだった。

これ以上、自分から送ったら苦しくなる。

返事が来なかったら、もっと傷つく。

もし冷たくされたら、立ち直れなくなる。

だからもう、連絡しない。

何度もそう思った。

それなのに、夜になると心が揺れる。

最後にもう一度だけ。

一言だけ送ってみようかな。

ちゃんと気持ちを伝えたら、
何か変わるかもしれない。

今なら、少し落ち着いて話せるかもしれない。

あの時言えなかったことを、
最後に伝えたい。

そんな気持ちが、
胸の中から何度も出てくる。

スマホを手に取る。

トーク画面を開く。

名前を見るだけで、胸がぎゅっとなる。

もう終わった相手なのに。

もう前みたいに連絡できる関係ではないのに。

それでも、指が画面の上で止まる。

「元気?」

たった二文字を打って、消す。

「少しだけ話せる?」

そこまで打って、また消す。

「最後に一つだけ伝えたくて」

そう書いてみるけれど、
送信ボタンは押せない。

送りたい。

でも怖い。

返事が来なかったらどうしよう。

既読だけついたらどうしよう。

「もう連絡しないで」と言われたらどうしよう。

優しく返ってきたら、
また期待してしまうかもしれない。

冷たく返ってきたら、
また深く傷つくかもしれない。

どちらにしても、怖かった。

本当は、
最後に一度だけと言いながら、
最後にしたくない自分がいる。

もし返事が来たら、
また会話が続くかもしれない。

もし優しい言葉をくれたら、
まだ可能性があると思ってしまうかもしれない。

もし「俺も考えてた」と言われたら、
もう一度戻れるかもしれない。

そんな小さな期待が、
心のどこかに残っている。

だから、最後にもう一度だけがやめられない。

本当に最後にしたいのではなく、
まだ終わっていないと思いたいのかもしれない。

別れたあと、
人は何度も「最後」を探してしまう。

最後に理由を聞きたい。

最後に謝りたい。

最後にありがとうを言いたい。

最後にもう一度、声を聞きたい。

最後に会って、ちゃんと終わらせたい。

そう思うことがある。

でも、その「最後」は、
本当に心を楽にするための最後なのか。

それとも、
もう一度つながるための入口を探しているのか。

自分でも分からなくなる。

私は、何を望んでいるんだろう。

謝りたいのか。

分かってほしいのか。

戻りたいのか。

それとも、
ただこの苦しさを少しでも軽くしたいだけなのか。

連絡したい気持ちの奥には、
いろいろな感情が隠れている。

寂しさ。

後悔。

不安。

期待。

未練。

怒り。

言えなかった言葉。

聞けなかった本音。

ちゃんと終われなかった悲しさ。

それらが全部混ざって、
「最後にもう一度だけ」になっているのかもしれない。

本当は、返事がほしい。

本当は、引き止めてほしい。

本当は、まだ好きだと言ってほしい。

本当は、
私だけがこんなに苦しいわけじゃないと知りたい。

そんな気持ちが、
心の奥にあるのかもしれない。

でも、連絡をしたからといって、
必ず心が楽になるとは限らない。

返事が来ないまま、
もっと苦しくなることもある。

冷たい言葉で、
もう一度傷つくこともある。

優しい返事が来たことで、
また忘れられなくなることもある。

曖昧なやり取りが続いて、
余計に手放せなくなることもある。

だからこそ、
連絡する前に少しだけ立ち止まってもいい。

今、私は何を伝えたいんだろう。

何を期待しているんだろう。

返事がなかった時、
私は自分を守れるだろうか。

優しい返事が来た時、
また期待しすぎて苦しくならないだろうか。

冷たい返事が来た時、
これ以上自分を責めないでいられるだろうか。

そうやって、
相手に送る前に、
まず自分の心に聞いてあげてもいい。

連絡したい気持ちを、
責めなくていい。

まだ好きなら、
連絡したくなるのは自然なこと。

終わった恋を、
一度で手放せないのも自然なこと。

最後にもう一度だけと思うのは、
それだけちゃんと向き合いたかったから。

それだけ大切にしていたから。

それだけ、
簡単に終われない恋だったから。

でも、連絡したい気持ちがあるからといって、
すぐに送らなければいけないわけではありません。

送らない選択も、
あなたを守るための大切な選択です。

伝えたい言葉があるなら、
まずはメモに書いてみてもいい。

送らない手紙として、
気持ちを全部書き出してみてもいい。

「会いたい」

「まだ好き」

「寂しい」

「どうしてこうなったのか分からない」

「本当はもっと大切にされたかった」

そんな言葉を、
誰に見せなくてもいいから、
自分のために書いてみる。

相手に届かなくても、
あなたの心には届きます。

言えなかった気持ちを言葉にするだけで、
少し呼吸がしやすくなることがあります。

大切なのは、
あの人に届くかどうかだけではありません。

あなた自身が、
自分の気持ちをちゃんと分かってあげること。

まだ終われない。

まだ苦しい。

まだ声が聞きたい。

その気持ちを、
自分だけでも否定せずに受け止めてあげること。

それが、
本当の意味で少しずつ終わりに近づく一歩なのかもしれません。

「最後にもう一度だけ」

そう思う夜は、
心がまだ傷ついている夜です。

まだ相手に伝えたいことがある夜です。

まだ自分の中で、
終わったことを受け止めきれていない夜です。

だから、そんな夜に
自分を責めなくて大丈夫です。

また連絡したくなってしまった。

それでもいい。

まだ期待してしまった。

それでもいい。

送れなくて泣いてしまった。

それでもいい。

送らずに我慢できた。

それも、ちゃんと大きな一歩です。

手放すというのは、
何も感じなくなることではありません。

連絡したい気持ちが出てきても、
そのたびに少し立ち止まって、
自分の心を守る選択をしていくこと。

苦しくなった時に、
相手へ向かう前に、
まず自分の気持ちを抱きしめてあげること。

それが少しずつ、
あの人に向いていた心を、
自分のところへ戻していくことなのだと思います。

今日、連絡したくなったあなたは、
弱いわけではありません。

まだ好きだっただけ。

まだ寂しかっただけ。

まだちゃんと終われていなかっただけ。

その気持ちを責めずに、
少しだけそばに置いてあげてください。

心葉(ここは)では、
忘れられない恋の気持ちを否定せずにお聞きしています。


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