忘れられない人を、少しずつ手放すまで(第10話・最終話))

記事
コラム
忘れるんじゃなく、少しずつ手放していけばいい

忘れなきゃ。

早く前に進まなきゃ。

もう終わったんだから、
いつまでも思い出していたらダメ。

そう思えば思うほど、
心は苦しくなった。

忘れようとするたびに、
あの人のことを思い出す。

考えないようにするたびに、
一緒にいた時間が浮かんでくる。

もう大丈夫なふりをしようとしても、
ふとした瞬間に涙が出る。

忘れたいのに、忘れられない。

前に進みたいのに、
まだ立ち止まってしまう。

そんな自分を、
何度も責めてきた。

でも本当は、
忘れられない恋を、
無理に忘れようとしなくてもいいのかもしれない。

好きだったことを、
なかったことにしなくてもいい。

大切だった時間を、
消そうとしなくてもいい。

思い出す日があってもいい。

泣いてしまう夜があってもいい。

まだ胸が痛む瞬間があってもいい。

それは、
あなたが弱いからではありません。

ちゃんと好きだったから。

ちゃんと大切にしていたから。

簡単に消せないくらい、
心を使って恋をしていたから。

だから、すぐに忘れられなくて当然なのです。

手放すというのは、
忘れることではないのだと思います。

あの人の名前を聞いても、
何も感じなくなることだけが、
手放すことではありません。

思い出を全部消すことでもありません。

写真を消したから、
心まで消えるわけではない。

連絡先を消したから、
気持ちまで消えるわけではない。

逆に、まだ消せないからといって、
前に進めていないわけでもありません。

手放すことは、
あの人の記憶を、
心の真ん中から少しずつ横へ移していくこと。

あの人のことでいっぱいだった毎日に、
少しずつ自分の時間を戻していくこと。

あの人の言葉ばかり思い出していた心に、
自分の声を聞かせてあげること。

それが、
少しずつ手放していくということなのかもしれません。

最初は、
ほんの小さなことでいい。

朝起きてすぐにスマホを見る前に、
一度だけ深呼吸してみる。

トーク画面を開きそうになった時、
今日は少しだけ我慢してみる。

SNSを見たくなったら、
その前に温かい飲み物を飲んでみる。

思い出して涙が出たら、
「まだ苦しいよね」と自分に言ってあげる。

ご飯が少し食べられたら、
それだけで十分。

昨日より少しだけ眠れたら、
それも十分。

一日中泣いていた日が、
半日になった。

半日泣いていた日が、
少しだけ笑えた時間に変わった。

そのくらいの小さな変化でいいのです。

失恋から立ち直ることは、
突然元気になることではありません。

ある日いきなり、
全部忘れて明るくなることでもありません。

思い出す日がある。

泣く日もある。

また戻りたいと思う日もある。

それでも、少しずつ、
自分の毎日に戻っていく。

それが回復なのだと思います。

あの人を忘れられない日があっても、
あなたの時間は止まっていません。

泣きながらでも、
あなたは今日を生きています。

思い出しながらでも、
ご飯を食べたり、眠ったり、誰かと話したりしている。

それは小さく見えて、
とても大きなことです。

あなたは、ちゃんと進んでいます。

あの人を忘れたから進んでいるのではなく、
忘れられないままでも、
今日を過ごしているから進んでいるのです。

好きだった気持ちは、
あなたの中にあっていい。

楽しかった思い出も、
心のどこかに残っていていい。

でも、その思い出だけが、
あなたのこれからを決めなくていい。

あの人と過ごした時間は、
あなたの人生の一部です。

でも、あなたの人生の全部ではありません。

あの恋が終わっても、
あなたの価値は終わりません。

あの人に選ばれなかったとしても、
あなたが大切にされる価値まで消えるわけではありません。

失恋すると、
自分まで否定されたように感じることがあります。

私が足りなかったのかな。

私が重かったのかな。

もっと可愛くいられたら。

もっと我慢できたら。

もっと上手に愛せたら。

そんなふうに、
自分を責めてしまうことがある。

でも、恋が終わったことと、
あなたに価値がないことは、
同じではありません。

うまくいかなかった恋があるだけ。

傷ついた関係があるだけ。

でも、あなた自身が
愛されない人になったわけではないのです。

忘れられない恋を手放していく時に、
一番大切なのは、
あの人を早く忘れることではなく、
自分をこれ以上責めないことかもしれません。

まだ好きでもいい。

まだ泣いてもいい。

まだ思い出してもいい。

でも、
「こんな自分はダメだ」と
自分まで傷つけなくていい。

あなたは今、
大切だった恋を失って、
心が痛んでいるだけです。

だからこそ、
今は自分にやさしくしてあげてほしいのです。

あの人に向けていた優しさを、
少しずつ自分に戻していく。

あの人の予定を気にしていた時間に、
自分の体を休ませてあげる。

あの人の言葉を思い出していた夜に、
自分の心に声をかけてあげる。

「よく頑張ったね」
「本当に好きだったんだね」
「苦しかったよね」
「もう少し、自分を大切にしていいよ」
そんなふうに、
自分を迎えに行ってあげる。

それが、手放すことの始まりなのだと思います。

忘れることを目標にしなくていい。

無理に嫌いにならなくていい。

思い出を全部消そうとしなくていい。

ただ、少しずつ、
あの人中心だった心を、
自分のところへ戻していく。

連絡を待つ時間を、
自分を休ませる時間に変えていく。

思い出して泣いた夜のあとに、
少しだけ自分を責めない時間を作る。

それだけでいい。

手放すというのは、
急に強くなることではありません。

泣きながらでも、
自分を見捨てないこと。

揺れながらでも、
少しずつ自分の毎日に戻っていくこと。

忘れられない気持ちを抱えたままでも、
今日の自分を大切にしようとすること。

それが、
忘れられない人を少しずつ手放していくということなのだと思います。

いつか、
あの人の名前を聞いても、
今ほど胸が痛まない日が来るかもしれません。

いつか、
思い出しても涙ではなく、
静かな気持ちで受け止められる日が来るかもしれません。

いつか、
「あの恋も、私の一部だった」と
やさしく思える日が来るかもしれません。

でも、その日がすぐに来なくても大丈夫です。

今はまだ、
忘れられなくてもいい。

苦しくてもいい。

立ち止まる日があってもいい。

あなたの心は、
あなたの速度で回復していきます。

誰かと比べなくていい。

早く忘れたふりをしなくていい。

平気なふりをしなくていい。

少しずつで大丈夫です。

昨日より少しだけ、
自分を責めなかった。

昨日より少しだけ、
深く眠れた。

昨日より少しだけ、
あの人以外のことを考えられた。

そんな小さな一歩を、
大切にしてあげてください。

忘れるんじゃなく、
少しずつ手放していけばいい。

好きだった自分を否定せずに。

苦しかった自分を責めずに。

泣いた日も、
思い出した日も、
全部抱えながら。

あなたは、
あなたの心を少しずつ取り戻していけばいいのです。

心葉(ここは)では、
忘れられない恋の気持ちを否定せずにお聞きしています。




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