忘れられない人を、少しずつ手放すまで(第8話)
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コラム
相手は前に進んでいる気がして苦しくなる
私はまだ、
こんなに苦しいのに。
まだ思い出してしまうのに。
まだ夜になると、
胸がぎゅっと苦しくなるのに。
相手はもう、
前に進んでいるように見える。
普通に笑っているように見える。
いつも通り生活しているように見える。
友達と出かけて、
仕事をして、
ご飯を食べて、
何もなかったみたいに毎日を過ごしているように見える。
それを知った時、
胸の奥が静かに痛くなる。
私だけが、
まだあの日に取り残されているみたいだった。
別れたあとも、
時間は同じように流れている。
朝は来る。
夜も来る。
周りの人は普通に生活している。
でも私の心だけが、
あの人との最後の日から
あまり動けていない気がする。
もう終わったんだと分かっている。
戻れないことも分かっている。
でも、心がまだ追いつかない。
そんな時に、
相手が普通に過ごしている姿を見ると、
自分だけが置いていかれたような気持ちになる。
あの人はもう平気なのかな。
私のこと、思い出さないのかな。
あんなに一緒にいた時間は、
あの人にとって何だったんだろう。
私はこんなに苦しいのに、
あの人はもう何とも思っていないのかな。
そう考え始めると、
胸の中に寂しさと悔しさが混ざっていく。
別れたあと、
相手が元気そうに見えることがある。
SNSの投稿。
誰かとの会話。
楽しそうな写真。
普段通りの様子。
それだけで、
相手だけが先に進んでいるように見えてしまう。
でも本当は、
その人の心の中までは分からない。
笑っているからといって、
何も感じていないとは限らない。
普通に過ごしているからといって、
まったく傷ついていないとは限らない。
ただ、見えている部分だけでは、
そんなことは分からない。
それでも、
こちらが苦しい時ほど、
相手の元気そうな姿は刺さってしまう。
私だけが苦しんでいるみたい。
私だけが忘れられないみたい。
私だけがまだ好きみたい。
そんなふうに感じて、
余計につらくなる。
本当は、
相手にも少しは寂しがってほしいのかもしれない。
少しは後悔していてほしいのかもしれない。
私のことを思い出して、
胸が苦しくなる瞬間があってほしいのかもしれない。
そう思う自分に気づいて、
また苦しくなる。
そんなこと思うなんて、嫌だな。
相手が幸せになるのを願えないなんて、
私って心が狭いのかな。
そう責めてしまうこともある。
でも、
別れた直後に、
相手の幸せを心から喜べない日があってもいいのです。
まだ傷が痛い時に、
相手が楽しそうにしている姿を見て、
つらくなるのは自然なこと。
まだ好きだったなら、
まだ大切だったなら、
相手が自分のいない場所で笑っていることが
寂しく感じるのは自然なこと。
あなたが冷たいからではありません。
あなたが悪い人だからでもありません。
まだ心が痛んでいるからです。
私はずっと、
別れたらすぐに大人にならなきゃいけないと思っていた。
相手の幸せを願わなきゃ。
過去は過去として受け入れなけ受け入れなきゃ。
いつまでも引きずっていたらダメ。
そんなふうに、
自分に言い聞かせていた。
でも本当は、
そんなにすぐに心は整わない。
好きだった人が、
自分のいない世界で楽しそうにしている。
その現実を受け入れるには、
時間がかかって当然です。
自分がまだ泣いている時に、
相手が笑っているように見えたら、
胸が痛くなって当然です。
その痛みを、
無理にきれいな言葉で片づけなくてもいい。
苦しい。
寂しい。
悔しい。
置いていかれた気がする。
私だけがまだ終われていないみたいでつらい。
そう感じてもいいのです。
ただ、ひとつだけ覚えておいてほしいことがあります。
相手が前に進んでいるように見えることと、
あなたの価値は関係ありません。
相手が笑っているからといって、
あなたとの時間が軽かったわけではありません。
相手が普通に生活しているからといって、
あなたが大切ではなかったと決まるわけではありません。
そして、あなたがまだ苦しいからといって、
あなたが遅れているわけでもありません。
人によって、
立ち直る速度は違います。
表に出す人もいれば、
出さない人もいます。
新しい予定で気を紛らわせる人もいれば、
ひとりで静かに抱える人もいます。
見えている姿だけでは、
本当のところは分からない。
だから、
相手の今と自分の今を比べすぎなくていいのです。
あの人はもう楽しそう。
それなのに私はまだ泣いている。
そんなふうに比べるたびに、
心はまた傷ついてしまう。
あなたには、
あなたの回復の速度があります。
今日も思い出してしまった。
それでもいい。
まだ涙が出た。
それでもいい。
相手が元気そうで苦しくなった。
それでもいい。
その気持ちは、
まだ心が回復の途中にあるということ。
あなたが弱いからではありません。
あなたの恋が、
それだけ大切だったということです。
少しずつでいい。
相手の生活を追いかける時間を、
少しだけ自分のために使ってみる。
相手が何をしているかを考えたあとに、
自分は今何を感じているのかを聞いてみる。
相手が前に進んでいるように見えて苦しくなったら、
「私はまだ寂しいんだね」と受け止めてあげる。
それだけでいい。
無理に忘れなくてもいい。
無理に平気なふりをしなくてもいい。
ただ、
相手の今だけを見続けて、
自分の心を置き去りにしないでください。
あなたの毎日も、
ちゃんとここにあります。
あの人がいない今日も、
あなたの大切な一日です。
泣いてしまう日でも。
うまく笑えない日でも。
何度も思い出してしまう日でも。
その一日は、
あなたが少しずつ自分に戻っていくための時間です。
相手が前に進んでいるように見えると、
自分だけが止まっているように感じることがあります。
でも、あなたは止まっているわけではありません。
泣きながらでも、
迷いながらでも、
思い出しながらでも、
ちゃんと今日を生きています。
それは、
とても大きな一歩です。
手放すというのは、
相手より早く前に進むことではありません。
相手と比べずに、
自分の速度で少しずつ歩いていくこと。
あの人の今を追いかけるより、
自分の心を少しずつ迎えに行くこと。
それが、
忘れられない恋を手放していく道なのだと思います。
心葉(ここは)では、
忘れられない恋の気持ちを否定せずにお聞きしています。
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