「最近、仕事が忙しくて」
彼は、よくそう言った。
最初は、素直にそうなんだと思った。
大変なんだろうな。
疲れているんだろうな。
私が支えてあげなきゃ。
そう思っていた。
彼からの返信が遅くても、
会う予定がなかなか決まらなくても、
電話したいと言えなくても。
私はいつも、自分に言い聞かせていた。
「忙しいだけ」
「嫌われたわけじゃない」
「私が分かってあげなきゃ」
でも夜になると、心がざわざわした。
昼間は、何とか平気なふりができる。
家事をしたり、仕事をしたり、誰かと話したり。
やることがあるうちは、考えすぎずにいられる。
でも夜、ひとりになるとダメだった。
スマホを見てしまう。
彼とのトーク画面を開いてしまう。
最後に来たLINEを、何度も読み返してしまう。
「落ち着いたら連絡するね」
その一文を見ながら、私は思う。
落ち着くって、いつなんだろう。
私は、いつまで待てばいいんだろう。
でも、その気持ちを送ることはできなかった。
「忙しいのは分かるけど、少しだけでも連絡ほしい」
そう言いたかった。
でも、言った瞬間に、重い女になる気がした。
「俺だって忙しいんだから」
「分かってくれないんだね」
「そういうの疲れる」
そんなふうに思われるのが怖かった。
だから、送る言葉はいつも同じになる。
「無理しないでね」
「体に気をつけてね」
「落ち着いたらで大丈夫だよ」
本当は、大丈夫じゃない。
でも、大丈夫なふりをするほうが、
関係が壊れない気がしていた。
気づけば私は、
彼の忙しさばかりを優先していた。
彼の予定。
彼の気分。
彼のタイミング。
彼の疲れ。
もちろん、好きな人を思いやることは大切。
でも私は、いつの間にか、
自分の寂しさを置き去りにしていた。
会いたい。
声が聞きたい。
少しでいいから安心したい。
私のことも、ちゃんと見てほしい。
そんな当たり前の気持ちに、
自分でふたをしていた。
「忙しい」という言葉は、とても強い。
相手を責めにくくなる。
我慢する理由になる。
期待しないほうがいいと思ってしまう。
でも、どれだけ忙しくても、
大切にしたい相手への向き合い方は、少しずつ行動に出る。
長いLINEじゃなくてもいい。
毎日電話じゃなくてもいい。
完璧なデートじゃなくてもいい。
ただ、
「今日は返事できないけど、明日連絡するね」
「今週は難しいけど、来週会おう」
「待たせてごめんね」
そんな小さな行動があるだけで、
心は少し安心できる。
不安になるのは、
連絡が少ないからだけじゃない。
いつまで待てばいいのか分からないまま、
自分の気持ちだけが置いていかれるから苦しい。
私はずっと、
彼を疑う自分が嫌だった。
忙しいだけかもしれないのに。
本当に疲れているのかもしれないのに。
私が不安になりすぎなのかもしれないのに。
そう思って、自分を責めた。
でも本当は、疑いたかったわけじゃない。
安心したかっただけだった。
「ちゃんと想ってるよ」
「待たせてごめんね」
「いつ会えるか、一緒に考えよう」
そんなふうに、
少しでも私の不安を見てほしかっただけだった。
恋愛で苦しくなる時、
私たちはよく、自分の気持ちを小さくしようとします。
これくらいで寂しがったらダメ。
忙しい人に求めたらダメ。
もっと理解ある女性でいなきゃ。
でも、寂しいものは寂しい。
会いたいものは会いたい。
不安なものは不安。
その気持ちまで、悪者にしなくていいのです。
「忙しいだけ」と信じ続けて苦しくなるのは、
あなたが弱いからではありません。
相手を思いやる気持ちと、
自分を大切にしたい気持ちの間で、
ずっと頑張ってきたからです。
本当は、怒りたいわけじゃない。
責めたいわけじゃない。
ただ、ひとりで待ち続ける恋に疲れてしまっただけ。
その気持ちは、ちゃんと受け止めていいものです。
もし今、あなたが
「忙しいと言われると何も言えなくなる」
「待つことばかりで、自分の気持ちが分からなくなってきた」
「彼を信じたいのに、夜になると不安で苦しくなる」
そんな思いを抱えているなら、
ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。
心葉(ここは)では、
あなたの気持ちを否定せずにお聞きしています。