正しい自己理解を深めるためには、自分の感情を無視しないことが大切です。私たちはしばしば、過去の記憶により、感情に振り回されることを恐れて感情を抑え込んだり、気にしないようにしたりしがちです。
しかし、感情を冷静に見つめ、適切に向き合うことこそが、自己理解を高め、感情に翻弄されない自分を築くための重要なステップです。
1,EQを活かして「冷静に感情を見つめる」
感情に振り回されず、自分の考えや行動を冷静にコントロールするためには、EQ(Emotional Intelligence:感情知能)というスキルが役立ちます。
EQとは、自分の感情を把握し、適切に調整する能力のことで、他者の感情を理解し共感する力も含まれます。自己理解や対人関係の質を高めるためにも重要とされていますが、特に「冷静に感情を見つめる」ために大きな力を発揮します。
冷静に感情を見つめることで、以下のような効果が得られます。
1ー1. 感情に振り回されない
今の感情をただ単に認識し、「今そう思っているのだな」と受け入れることで、不安や怒りといった強い感情が湧いたとしても、それに飲み込まれることなく冷静でいられます。
1ー2. 思考の暴走を防ぐ
今こう思っているのだな、と感情に気づくことで、感情が思考に与える影響を理解できるため、ネガティブな考えに引きずられずに済みます。感情が未処理のままだと、思考がそれを補完しようとし、さまざまな理由付けが行われていきます。つまり過剰な不安や心配が生まれることがありますが、EQがあればそのループを断ち切れます。
2感情が先か、思考が先か?
「感情が先か、思考が先か」については、心理学や脳科学でも見解が分かれるテーマです。これは状況や個人の感じ方の特徴によっても異なるため、一概にはどちらが先と決めつけられません。
2ー1. 感情が先に起こり、思考が後に続くケース
瞬間的に湧き上がる感情は、特に強烈です。たとえば、何か恐ろしいことが起こりそうだと感じたとき、「逃げなければ」という思考が瞬時に生まれます。この場合、感情が先に生じ、思考がそれに反応して理由づけや解釈を始めるパターンです。例えば、誰かに何気なく言われた一言が「自分を否定されているのでは」といったネガティブな感情を引き起こし、その感情に基づいて「自分はダメだ」「相手は自分を嫌っている」などの思考が膨らむことがあります。
2ー2 思考が先に生まれ、感情がそれに続くケース
逆に、思考が先に立ち、それによって感情が引き起こされるケースもあります。たとえば「この仕事、自分には難しすぎるかも…」と考えたとき、不安や自己否定の感情が引き起こされます。このパターンでは、考えが感情を生み出しているため、思考をコントロールできれば、感情にも影響を与えられます。認知行動療法などは、こうした思考と感情の関係に着目し、思考の修正によって感情の安定を図る方法です。
3感情と向き合うことで得られる「安定感」
いずれの順序で感情や思考が生まれるにせよ、私たちが感情と向き合い、冷静に観察することができれば、感情に振り回されずに安定した自分を保つことができます。
感情は無視すればするほど強まり、自己理解を妨げてしまいますが、EQを用いて感情を冷静に見つめることで、感情が思考や行動に及ぼす影響を冷静に理解し、感情に反応して暴走することがなくなります。
最後に、正しい自己理解には「感情を無視しない」こと
正しい自己理解を目指す上で、感情を無視するのではなく、冷静に見つめ、受け入れることが大切です。感情と向き合い、自分が何を感じ、どうしてそのような感情が生まれているのかを理解することで、感情の波に左右されることが減り、落ち着いた自己認識を保つことができます。
感情と自分の距離を適切に取るためのEQは、自己理解を深め、安定した人生を送るために欠かせないスキルだと言えると思います。