第三章 感情を受け止める  第一話 「もう平気」は、平気じゃなかった

第三章 感情を受け止める  第一話 「もう平気」は、平気じゃなかった

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コラム
第三章 感情を受け止める
第一話 「もう平気」は、平気じゃなかった


「もう昔のことだから。」

そう言いながら、
私はずっと、
平気な顔をしていました。

悲しかった出来事も。

寂しかった記憶も。

「終わったことだから。」

そう思えば、
ちゃんと前を向けている気がしていたのです。


でも、
心をたどるようになってから、

ふとした瞬間に、
涙が出ることが増えました。


市川動物園のパンチ君が、
ぬいぐるみのお母さんを
拭いてきれいにしている姿を見たり。

犬が生まれたてのトラ3頭を育てる
写真を見たり。

友達が「これいいよ」と
本を私に薦めてくれたり。

こんな日常に、なぜ涙が出てくるのか
自分でもわかりませんでした。

でも、
わたしのどこかが、
何かに反応している。

その小さな反応を、
大切にしてみようと思いました。


もしかすると、
今までは悲しさや寂しさ、
泣きたい気持ちを、
感じないようにしていただけだったのかな。


あのころは、
泣くと、怒られていたから。


だから、
涙より先に、

「我慢する」

そう言い聞かせて、
無かったことにすることを覚えたのでしょう。


でも今は、
涙が出そうになる自分を、
慌てて止めなくなりました。

「何か、感じるものがあるんだね。」

そう言って、
自分に寄り添うようになりました。



悲しみも喜びも、
何かを感じることは、

ずっと置き去りにしてきた
自分を迎えに行くことなのかもしれません。


今までは、
感じないことで
怒られないように、
自分を守ってきました。

でも最近は、
「大丈夫だよ。」
と自分に声をかけながら、
少しだけ、
感じることを許してみようとしています。

まだ途中だけれど、
それだけでも、
心は少しずつ
やわらかくなってきた気がするのです。


あなたは、
「もう平気だよ」と言いながら、
心の奥に置いたままの気持ちはありませんか。


🌿最後まで読んでくださり、ありがとうございます🌿

この連載では、
母との関係から始まった心の旅を、
少しずつ綴っています。

もしかしたら、
あなたの心にも重なる景色があるかもしれません。

これからも、一緒にゆっくり歩いていけたら嬉しいです。

そして、もし誰かと一緒に心を整理したくなった日には、
その続きを、安心して話しに来てくださいね。




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