「ほめなきゃ」を見つめ直してみる③(ほめテクニックいろいろ)

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 シリーズ3作目です。このシリーズでは、主に、「もっとほめてあげてください」と言われてしんどい思いをされてきた方に向けて記事を書いています。
 1作目では、「確かにほめることにはとても良いことがある。一方で、やたらめったらほめれば良いということでもない」というお話をしました。
 続く2作目では、ほめ言葉の種類を挙げながら、「評価よりも、自分の喜びを伝える『喜び系ほめ言葉』っていうのが特に良い」というお話をしました。
 今回は、ほめる対象やタイミングなどスキルにまつわることを取り上げたいと思います。

なぜ、ほめテクニックを扱うのか

 16世紀、スイスの医師、錬金術師、思想家だったパラケルススは、こう言いました。
「全てのものは毒であり、毒でないものなど存在しない。
その服用量こそが毒であるか、そうでないかを決めるのだ」
                    パラケルスス

                 <出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)>
 砂糖、塩はもちろん摂りすぎると肥満や生活習慣病のリスクが上がります。肉や魚、身体にいいと言われている野菜であっても、摂りすぎれば身体を壊します。「量が大事なんだ」というメッセージですね。

 何をもって「摂りすぎ」とするかのラインが、砂糖や塩、魚や野菜ではそれぞれ異なります。一気に500g摂るとして、砂糖や塩では身体にかなりダメージがありそうです。一方、キャベツであれば、飽きるでしょうがダメージはないでしょう。

 量に加えて、「ビタミンDと脂質を同時に摂ると吸収が良くなる」というように、「どう摂るか」も重要になってきます。薬も「食後、水またはお湯で、1日3回、1回2錠」など決められています。つまり、「何ごとも用法・用量が大事」ということですね。

 「ほめる」に話を戻しましょう。なぜ、ほめテクニックを扱うのか。
 それは、ほめることも用法・用量が大事だからです。ただし、食べ物や薬と違うのは、用法・用量の基準がないということです。

 食べ物であれば、国が「一日に必要な量」を呈示していますし、薬であればもっと明確に用法・用量が定められています。しかし、どうやってほめたらいいのか、どれだけほめたらいいか、その基準は決めることができません。グラムや個数といった数えられる単位もない。ゆえに、多くの人が悩む。

 だからこそ、ほめテクニックを考えるなかで「ほめる用法・用量」について、考え方を深めていきたいのです。

 なお、ここから先、「このテクニックを使うと、より効果的です」という話をしていくわけですが、何を効果とするかは深淵な話です。
 ここではいったん、①自己肯定感、②やる気、③お互いの関係性、の三つを育むことに繋がることが効果だと仮設定させてください。

言葉以外のほめしぐさ

 ここまで少し回りくどい説明になってしまいましたので、ここからは結論から話していきましょう。

 言葉以外のほめしぐさとは、笑顔、アイコンタクト(視線を合わせる)、頭をなでる、高い高いする、抱きしめる、ハイタッチする、拍手する、「いいね」する(親指を立てる)、グータッチなどです。

 これらのワードを眺めていると緩やかに分類できそうです。例えば、身体接触という視点で考えるとどうでしょう。

 頭をなでる、高い高いする、抱きしめる、ハイタッチする、グータッチは相手の身体の一部に触れています。一方、笑顔、アイコンタクト、拍手する、「いいね」する、は非接触です。

 相手に触れる/触れられる行為は、ときにびっくりするものです。相手によっては嬉しかったり、気持ち悪かったりします。やや難しい言葉で「何かが他のものに侵入し、影響を及ぼすこと」を侵襲性と呼びますが、相手に触れる接触タイプのほめしぐさは、侵襲性が比較的高いといえます。

 さらに、同じ接触タイプのものでも、「抱きしめる」と「グータッチ」とでは、「触れ具合」がずいぶん異なります。抱きしめるというのはかなり侵襲性が高いほめしぐさで、グータッチは侵襲性が低めといえそうです。

 私の感覚になってしまいますが、侵襲性(相手への影響しやすさ)をグラデーションにして下図のように並べてみました。
名称未設定のデザインのコピー.png
 なぜ、このように整理したかというと、関係性と侵襲性がミスマッチだと、ほめる/ほめられる心地よさよりも、不快感が強くなるためです。

 例えば、親と幼児であれば「抱きしめる」という心地よい行為も、思春期の娘と父親だと嫌がられることがよくあります。衣服を一緒に洗ってほしくないほどにデリケートな間柄だからです。同様に、上司・部下の関係だと「頭をなでる」というのはかなり不自然で、不快感を与えることが多いでしょう。

 このように、関係性が変化すれば、別のほめしぐさの方が自然で、心地よいものになります。思春期初期の親子の場合、頭をなでられるのはもう不快だけど、ハイタッチなら心地いいかもしれません。「いいね」のサムズアップがちょうどいい関係性もあるでしょう。

 関係性に合わせてほめしぐさを変えていくことが重要なのだと思います。関係性が変わることには少し寂しさも伴いますが、新しい関係性の始まりです。いったん離れたあと成熟した親子が、いつか、ハグが心地よくなる間柄に繋がるかもしれません。

 ところで、私は仕事柄、保育園や療育の事業所、障害児入所施設にお邪魔することがよくあったのですが、ハイタッチはとても便利でした。
 子どもたちが「見て、見てオーラ」を出してきた時に驚いた顔をしてハイタッチするだけで喜んで、遊びに戻っていく。自閉症スペクトラムであまり交流しようとしない子でも、帰りのあいさつとして手を出すとハイタッチしてくれる。そんなことがありました。

ここまでのまとめ

 ついつい脱線が多くなりがちで、「ほめる対象」「ほめるタイミング」にたどり着けぬまま、この文量になってしまいました。余裕のない方々にも届くといいなと思って書き始めたブログなので、これ以上長文にならないよう続きは次に回したいと思います。

 今日は、「ほめるのも用法・用量が大事。でも、そんな基準は存在しない。だからこそ、ほめ方(ほめテクニック)について考えてみたい」という決意表明と、ほめしぐさ(非言語のメッセージ)を取り上げました。

 ほめしぐさでは、侵襲性をキーワードに、相手との関係性に合わせて、心地よいほめしぐさを選ぶというお話をしてきました。
 私は今、目を閉じて、ここまで読んでくださった方とハイタッチをするイメージをしています。よろしければ、パチンと手を重ねていただければ幸いです。それではまた。

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