「ほめなきゃ」を見つめ直してみる④(ほめテクニックいろいろ)

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 4回目となるこのシリーズは、「ほめる」について深掘りすることで、日々、「ほめなきゃ」という考えにとらわれ、ほめられない自分に苦しむ方の気持ちが少しでも緩んでいくことを目標にしたものです。

 今回は、ほめテクニックを扱った前回の続きとなります。
 それではさっそく本題に入りましょう。今日はほめポイント、つまり「どこをほめるか」という話になります。

ほめポイントは、プロセスに注目する

「子どもは誰でも芸術家だ。問題は、大人になっても芸術家でいられるかどうかだ。」
                                    パブロ・ピカソ
 例えば、子どもが親に「みて、みてー」と、絵を描いて見せにきたとします。そのときどんな言葉をかけるか。
 「上手だね」と言葉をかければ、それはできあがった絵、つまり、成果をほめていることになります。一方で、「一生懸命描いてたね」ならばどうでしょう。これは、描く努力、つまりプロセスをほめていることになります。

 どちらが望ましいのか。よく言われることは、「プロセスをほめましょう」ということです。理由の一つは、「上手に描く」が目的になってしまい、上手に描けないと絵を描くこと自体が嫌になってしまうからです。

 確かに。子どもの頃はただ楽しくて絵を描き、「見て見て」と親や保育士さんに見せに行っていました。しかし、いつしか、「うまく描けない」「下手な絵を見られなくない」、そういう思いを携えるようになり、多くの人が絵を描かなくなります。

 一方で、「うまい/下手」、すなわち正確性を求める人の性質や人の目を気にする性質が根っこにありそうなので、「こうほめたら、大人になっても物怖じせず絵を描くようになる」といった単純な話ではないように思います。

 結論、成果だろうとプロセスだろうと、あまり気にしないことです。特に、喜び系のほめ言葉は成果をほめる際にも便利です。例えば、「描いてくれたの?ありがとう」「えー!うれしい」「なんか元気が出る絵だね」といった具合です。

 子どもが絵を見せにきたとき、「上手だね」というワードが真っ先に思いつく方も多いのではないでしょうか。でも、なんか自分にはしっくりこないとか、同じ言葉ばかり使っているな、と思った方は、プロセスもほめられるんだ、喜びを伝えるだけでもいいんだ、と思い出していただければと思います。

 ただし、子どもから「じゃああげるー」と、絵を手渡され続けて困るという「エンドレス絵画手渡し問題」が生じることは否めません。

ほめポイントは、具体的な行動に注目する

 例えば、同じく子どもが絵を見せにくる場面。「頑張って描いたね」と伝えるのと、「よく見て描いたね」と伝えるのとでは、どちらがより具体的でしょうか。

 「頑張る」よりも「よく見る」のほうが具体的です。
 ほめる以外の声かけも具体的なほうが望ましいと言われています。例えば、夏休みの宿題を「ちゃんとやりなさい」よりも「一日1ページやりなさい」のほうが具体的です。

 なぜ、具体的な行動に注目するかというと、子どもが何をほめられたのか、何を指示されているかわかりやすいからです。

 しかし、具体的な行動に注目するのは容易ではありません。「そんなにずっと観察してられないよー」というのが私の本音です。どうしたものか。

 じつは先ほどたまたま挙げた、夏休みの宿題の例にヒントがありました。
 私が宿題自体ゼロにしてほしい派であることはさておき——。夏休みの宿題について声をかけるとしたら、「一日1ページ」で本当にいいのでしょうか。なぜなら、宿題が60ページあったらそれだけで2か月かかるのでアウトです。

 実際に声をかける場合、全体量がどれだけあるのかを把握する必要があります。また、子どもの予定のことを考慮したり、子どもがどのように考えているかも知る必要があります。

 例えば、子どもとこんなやりとりを伴います。「どんな予定があるのか」「いつまでに終わらせたいか」「何をいつまでにやるか」「何をいつ始めるか」「一日にどれだけ進めればいいのか」……。
 結局、「一日1ページ」と声をかけるためには下準備が必要ということです。(やっぱり宿題なくしてほしいな……。くどいですね。失礼しました。)

 ここまでの準備はいらないにしても、ほめる際も子どもと2、3ターンやりとりすると、具体的な行動を見つけやすくなります。

 例えば、こんなやりとり。

  こども「みて、みてー」
  おとな「わー、何描いたの?」
  こども「わんわん描いた」
  おとな「私もわんわん好き。この絵のどのへんが好き?」
  こども「んっとねー。お耳」
  おとな「お耳よく見て描けたね」

 上司と部下の関係でも例を挙げてみましょう。

  部下「今よろしいですか。会議資料を見ていただきたくて」
  上司「おー、ありがとうございます。どのへんが苦労しました?」
  部下「リサーチする企業の選定に苦労しました」
  上司「へー、どうやって選定したんですか?」
  部下「同業多種のA社がこんなリサーチしてて。それを参考にしました」
  上司「『まずはうまくいっている人の真似をしてみる』。いい方法ですね」

 「同業多種のA社をまねてリサーチした」という行動がほめポイントということですね。

まとめ

 今日は、ほめポイントについて書きました。ここまで読んでいただいた方に、このまとめではとても重要なことをお伝えします。

 プロセスや具体的な行動といった視点を中心に話してきたわけですが、結論、「気にしなくていい!」です。少なくとも、どちらが良いとか悪いとか、そういうことは気にしなくていいと思っています。

 なぜなら、「プロセスをほめなきゃ」と思っていると、「あー、成果を褒めちゃった……」と自分にNG評価をつけてしまうことが増えてしまうからです。それが何よりももったいない。

 「じゃあ、なんでこの話をしたんだ」とツっこまれそうですが、その理由も簡単。バリエーションが増えたほうが楽しいからです。
 「こんなほめポイントを見つけられた」「こんなほめ言葉をかけられた」。そういう感覚は、自分の成長を感じられるかけがえのない機会です。そういう機会に出会える可能性を高めるために、いろんな視点を提供しました。

 ということで、いろんな種類のほめポイントがあることを感じていただけたら幸いに思います。それでは、また。

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