自筆証書遺言の正しく書くための要件と注意点~確実に思いを伝えるために~

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法律・税務・士業全般
遺言書は、あなたの大切な財産をどのように分けるかを明確に示すための重要な書類です。

特に、子供がいない場合や、特定の人にすべての財産を相続させたい場合には、遺言書がないことで意図しない相続が発生する可能性があります。

本記事では、自筆証書遺言を作成したい方に向けて、その基本的な要件や注意点について解説します。

妻にすべての財産を相続させたい、兄弟には遺産が渡らないようにしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

【自筆証書遺言とは?その基本的な要件】


自筆証書遺言とは、自分自身で全文を書いて作成する遺言書のことです。

公正証書遺言などと異なり、公証人を介さずに手軽に作成できる点が魅力ですが、その一方で法律で定められた厳格な要件を満たしていないと無効になってしまうリスクもあります。

以下は、自筆証書遺言を有効にするための基本的な要件です。

まず、遺言書は全文を自分の手で書かなければなりません。パソコンやワープロで作成したものは無効となります。

また、日付も必ず記載する必要があります。「2025年2月11日」といった具体的な日付を書くことが求められ、「2025年2月」や「2月11日」といった不明確な記載では無効となる可能性があります。

そして、氏名を自署し、押印することも必要です。この押印は実印でなくても認められますが、確実性を高めるためには実印を使うことが推奨されます。

【妻への全財産相続と兄弟への相続回避】


子供がいない場合、法律上では配偶者(妻)と兄弟姉妹が法定相続人となります。

この場合、遺言書がないと兄弟姉妹にも一定の割合で相続権が発生してしまいます。

しかし、自筆証書遺言を正しく作成すれば、妻に全財産を相続させることが可能です。

具体的には、「私の財産のすべてを妻〇〇(妻のフルネーム)に相続させる」といった明確な文言を書きましょう。

また、「兄弟姉妹には一切相続させない」と明記することで、意図しないトラブルを防ぐことができます。

このように、誰に何をどれだけ相続させるかを具体的かつ簡潔に記載することが、自筆証書遺言作成のポイントです。

【無効にならないための注意点】


自筆証書遺言は手軽に作成できる一方で、その要件を満たしていない場合には無効となります。

たとえば、日付や署名が抜けていたり、一部でもパソコンで作成されていたりすると無効になる可能性があります。

また、内容が曖昧で解釈が分かれるような表現も避けるべきです。「できれば妻に相続させたい」などの曖昧な表現ではなく、「私の全財産を妻〇〇に相続させる」と明確に記載しましょう。

さらに、自筆証書遺言を書く際には、自分自身がその内容について十分理解し判断できる状態であることも重要です。

これを「遺言能力」といい、高齢者や病気療養中の場合には、この能力について後から争われるケースもあります。

不安がある場合は医師による診断書などを準備しておくと安心です。

【適切な保管方法と法務局保管制度の活用】


自筆証書遺言を書いた後は、それを適切に保管することも重要です。

家族や親族によって勝手に改ざんされたり隠されたりするリスクがありますので、安全な場所に保管しましょう。

最近では、「法務局による自筆証書遺言保管制度」を利用する方法もあります。

この制度では、自筆証書遺言を法務局で預けることで、安全性と信頼性を確保できます。また、この制度を利用すると家庭裁判所での検認手続きが不要になるというメリットもあります。

自筆証書遺言保管制度のデメリットについてはこちら↓↓↓

【専門家への相談も検討しよう】


自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、その内容や形式によっては無効になってしまうリスクがあります。

そのため、不安や疑問がある場合には弁護士や司法書士、行政書士など専門家への相談も検討しましょう。

専門家はあなたの意向や状況に合わせたアドバイスを提供してくれるだけでなく、公正証書遺言など他の選択肢についても提案してくれます。

当事務所では、静岡市浜松市エリアを中心に自筆証書遺言の作成相談、相続に関するお悩み事についての相談を承っております。※全国を対象としています。

遺言書の内容に関するご質問や、相続手続き全般についてお気軽にご相談ください。

【まとめ】


自筆証書遺言は、自分自身で簡単に作成できる便利な方法ですが、その要件や注意点を守らないと無効になる可能性があります。

特に子供がおらず妻に全財産を相続させたい場合には、正しい形式で明確な内容を書くことが重要です。

本記事で紹介した要点を押さえながら、自分の意思を確実に伝えられるよう準備してください。

そして、不安がある場合は専門家への相談や法務局保管制度の活用も積極的に検討しましょう。

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