介護うつは病気ではなく、心のSOS

介護うつは病気ではなく、心のSOS

記事
コラム

・何をしても楽しくない
・以前ほど笑えなくなった
・介護のことばかり考えている

そんな状態になっていませんか?

介護うつは特別な人がなるものではありません。
心が弱い人がなるものでもありません。

むしろ
「真面目」で「責任感が強く」「家族を大切にする人」
が陥りやすいと言われています。

介護うつを理解するためには
「本人の性格」ではなく
「介護の構造」を知ることが大切です。

介護うつの始まりは「少し頑張る」から


介護が始まったら
・自分がやらないと
・家族だから当然
・まだ大丈夫
・もう少し頑張れる

そう思う人が多いです。

最初は善意です。
自分の家族が可哀想。
今まで育ててもらった恩もある。

ただ、介護は数日で終わるものではありません。
数ヶ月、数年、時には10年以上続くこともあります。
短距離走のつもりで始めたのに、実際はマラソンだった。

ここで、最初の考え方の「ズレ」があります。

介護うつの構造①  役割がどんどん増える


介助者は身体の介助をしているだけではありません。

・通院の付き添い
・ケアマネージャーとの連絡
・介護サービスの調整
・金銭管理
・家事や仕事
・感情の受け止め
・緊急時の対応

気付けば

介助者であり
家族であり
相談員であり
管理者である

複数の役割を一人で担っています

役割が増え続けると
人は疲れる前に
「余裕」を失います

介護うつの構造②  終わりが見えない


仕事なら休日があります
学校なら卒業があります

しかし、介護は明確なゴールがありません。
・いつまで続くかわからない
・状態が改善する保証はない
・むしろ徐々に負担が増えることもある

人は「苦労」そのものよりも
「終わりが見えない」ことに強いストレスを感じます。

介護うつの構造③  自分の時間が消える

介護が中心となると
・趣味
・友人との交流
・休息
・学び
など、介助者中心の時間が後回しになります。

すると徐々に

「介護以外の自分」が失われていきます。
人は役割だけで生きているわけではありません。

自分らしさを感じる時間がなくなると
心のエネルギーは回復しなくなります。


介護うつの構造④  頑張るほど孤立する

介護者の特徴として
・人に頼るのが苦手
・迷惑をかけたくない
・弱音をはけない
・我慢するのが当たり前

その結果

「大丈夫?」と聞かれても
「大丈夫」と答えてしまいます。

しかし、本当は限界が近づいていることもあります。
自分では気づけなくなっていることも多くあります。

孤立は介護うつの大きなリスクです。


介護うつの構造⑤  罪悪感が休むことを邪魔する


介護者の相談でよく聞く言葉があります。

「私だけ、楽しんでいいのかな」
「休んだら申し訳ない」
「もっと頑張らないと」

これは優しさです。
同時に罪悪感でもあります。

優しい人は自分のことよりも相手のことを気に掛けてくれます。
その優しさが自分には向きにくいのです。
自分に向くのは罪悪感。

罪悪感に従い続けると
休むことが悪いことになってしまいます。

結果、
回復する機会を失い
どんどん心も身体も疲弊していく方向に進んでしまいます。

介護者に必要なことは「頑張ること」ではない


介護うつを防ぐために必要なことは
もっと頑張ることではありません。

・頼む
・分担する
・話す
・休む
・楽しむことをする

こうした行動です。

介護を続けるためには長距離を走るマラソンと同じように
体力や気力を温存しながら走る必要があります。

はじめから、全速力で走ってはいけません。

途中で給水所も必要です。

休憩を挟み、長く無理のない計画が必要です。
周囲からの応援の言葉があるように、

倒れそうになったら支えてくれる人がいるように
介護者自身が守られる必要があります。

介護は人生の全てではなく

ほんの一部です。

人生の全てにならないよう
一緒に考えていきましょう。


最後に

「介護うつ」という言葉は正式な病名ではありません。
介護による心身の不調を総称して呼ぶことが多い言葉です。

うつ病は様々な要因が絡んだ病気です。治療には精神科や心療内科などの専門的な治療が必要です。

介護うつの原因は介護生活そのものがストレスの原因となっていることが多く、初期症状では介護生活の工夫で改善することがあります。

ただ、介護うつだから大丈夫ということではありません。

介護うつの状態から、睡眠障害や慢性疲労、意欲低下、うつ病の発症という経過も珍しくありません。

大事なのは
「介護によって、心と身体が疲弊しているサインに気付くことができる」ことです。

介護うつは病気ではなく、心のSOSです。

サインに気付くことができれば、
休息をとり、心も身体もエネルギーを回復させることができます。

大事な家族と辛い時間を過ごすより
少しでも笑って過ごせる時間にしていただきたいです。

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