以前読みました金田諦應著「傾聴のコツ」でも触れられていておりました「ナラティヴ・セラピー」の入門書を読み直しました。
坂本真佐哉著「今日から始まるナラティヴ・セラピー」です。
専門書はどうして論文特有の難しい言い回しなどありますが、この本はとても易しい語り口調で書かれております。
本当に初めての方でも読めると思います。
この本ではナラティヴ・セラピーの基本と周辺知識、さらには実践に向けた練習方法まで網羅されております。
ちなみに「ナラティヴ=narrative」は「物語」という意味です。
では、ナラティヴ・セラピー(物語療法)とはどんなものなのでしょうか?
【さらっと概略】
まず、一つの出来事に対して様々な見方ができるということは容易に理解できるかとは思いますが、実際にはどうしても一つの見方に陥ってしまうものですよね。
第1章では桃太郎の昔話を例に説明されています。
あなたは芥川龍之介の「桃太郎」をご存じでしょうか?ぜひ「今日から始まるナラティヴ・セラピー」か、「芥川龍之介全集 第21巻」を手に取ってみてください。
物語は出来事(プロット)が結びつくことで出来上がりますが、先に挙げた二つの「桃太郎」は基本的なプロットは同じ流れなのですが、まったく違う印象を受けるものになっています。
セラピストはクライエントから「問題のストーリー」を聴くこととなります。
その「問題のストーリー」に、質問などを通して新たなプロットを加え、「クライエントが好むストーリー」へと変えていくことを目標として会話をしていきます。
見方を変える一歩目として、問題の外在化があげられます。
何か問題が起きた時、私たちは何が原因かを探しがちではないでしょうか。犯人探しではありませんが、「誰が悪いのか」を探してしまいます。
しかし、原因を探した結果見つかったとしても問題解決に至らない場合があったり、原因探し自体が新たな問題となってしまう場合もあるのではないでしょうか?
人に原因を求めるのではなく「問題が問題である」として捉えることで、クライエントと共同で解決に取り組んでいくことができます。
「問題を抱えた人」から「問題」だけを取り出し、「問題」を維持するものを探していきます。このように、人と人の間で現実が作られるという考え方を社会構成主義といいます。
社会構成主義心理療法は家族療法の流れとして発展してきましたが、そのうちの一つとして、私が参加している勉強会で取り上げている「リフレクティング・プロセス」があります。
一対一ではなく家族を対象とする家族療法では、セラピストが家族の人間関係に取り込まれてしまうのを避けるよう様々な工夫がされてきました(母親・父親・子供など、だれかに肩入れしてしまうと問題が深刻化してしまう可能性があるため)。
まず、状況としては家族とセラピストからなるグループとは別に観察チームが居ます。
二つのグループは以下の約束事を守りながら交互に会話する時間を持ちます(最初は家族のグループが5分間、次に観察チームが5分間のような形を重ねていきます)。
①面接室での会話以外の文脈からはコメントしない
②断定的な話し方をしない
③否定的なコメントをしない
④観察チームは、家族の方を向くのではなく、メンバー同士が向き合って会話を行う
これらの約束事を守ることで、専門家と一般の人などの縦の関係を希薄化し横の関係で話せるようになり、家族の心理的反発(心理的リアクタンス)を避けながら、問題の外在化を目指すことができるようになります。
こうして会話を重ねていくことで、家族は「楽観的な新たな見方」を獲得することができます。
では一対一のカウンセリングではどう応用していけるのか。その一つの方法として「知らない姿勢」があげられます(現実的に考えると、セラピストの考える解決とクライエントが考える解決が違う可能性がある、など)。
これに関連して、問題でも、問題を維持するものでもなく、解決した先だけを目指す「解決志向アプローチ」という考え方があります。
以下、様々な具体例や練習法が紹介されていきます。
詳しく知りたい方は、ぜひ「今日から始まるナラティヴ・セラピー」を読んでみてください。
私自身まだまだ初心者なので、さらなる読み直しや、さらなる専門書も読んでいきたいと思っております。
【目次】
プロローグ 対人援助の6つのタイプ⁉
第1章 人生は物語……なのか?
第2章 問題と人を切り離す⁉
第3章 社会構成主義心理療法の発展とナラティヴ・セラピー
第4章 回復のストーリーを紡ぐ会話
第5章 不登校・引きこもりに悩む家族との会話
第6章 健康問題と「外在化する会話」
第7章 ナラティヴな会話を広げるコツ
第8章 ナラティヴな会話の実践に向けた練習あれこれ
第9章 会話のパッケージとしてのナラティヴ・セラピー
エピローグ 社会構成主義は世界を救う、のか⁉
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心理セラピストtakashi
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