子どもと駆け引きするとどうなるか
小さなお子さんと一緒に街を歩いているお母さん。
すると、お子さんが何か興味を持ったらしく、立ち止まってじっと眺め続けてしまう。
お母さんは先に進みたい。でも子供はなかなか動こうとない。
よくある風景ですが、こういうときにお母さんがしびれを切らせて、
「じゃあ、お母さんは先に行っちゃうからね!」
気持ちはよくわかります。でも、ここは面倒ですが、ちょこっと工夫をしていただきたい場面です。
まず原則として、幼児期のお子さんとの信頼関係をしっかりしたものにしたいのであれば、親は子どもと駆け引きをしない方がよいです。
「先に行っちゃうからね。それがイヤならついてきなさい。」
これは、ある種の駆け引きということになります。
相手が嫌がることを提示すると、相手がしぶしぶこちらの言いなりになる。
この関係を家族関係に取り入れてしまうと、子どもにとって親は「社会的な存在」に近づいてしまいます。
お母さんとおばさんの違い
社会的な存在とはつまり、「他人」ということです。
他人とはつまり、ただのおばさんということです。
親は私を絶対に守ってくれる特別な存在であると無意識に感じている状態
これが親子関係では重要です。
このあたりは人によって意見が異なるのですが、心の問題に悩んでいる人のカウンセリング経験を軸としてお話ししますと。
「親に対する絶対的な安心感」が薄い人は、大人になってからも様々な心の悩みに直面しやすいようで、ご本人がそれを明確に自覚していることもよくあるし、大人になってからカウンセリングによって気が付くこともあるようです。
毒親はお子さんにとって、お母さんのフリをしているただのおばさんです。
なぜ、ただのおばさんなのか。
自分と駆け引きをするからです。
人は他人と駆け引きをしますが、駆け引きをしない相手が家族です。
おばさんではなくお母さんでありたいのなら、駆け引きをしないでください。
では、駆け引き以外の方法で、子どもにどう対処すればよいのでしょうか。
私ならこうするかな
私なら、こんな方法を考えます。
ひたすらお願いする
「夕飯を作らなくちゃいけないから早く歩いて欲しいの。お願い~」
と申し訳なさそうにお願いします。
これに対して、子どもが
「そうなのか。仕方ないなあ、じゃあ急いで歩こうかな。」
と思ってくれれば、これは本人が自発的に「親と一緒に歩こう。」という選択をしたことになります。
これに対して親が、「ありがとうね。」と言ってうれしそうな態度を示したら、
「人の願いをかなえるとお互い良い気分になるんだな。」
という経験を積むことになります。
心地よい感情のキャッチボールを日ごろから経験している人。
そういう暖かい心の交流を全く知らない人。
この違いが人生の根本に重大な影響を与えていますが、多くの人はその違いの重要性に気が付きません。
私もカウンセラーになってから気にするようになりました。
皆さんも、他人を見ていて感じませんか。
この人とは関係を持ちたくないなあという人。
逆に、関係を持ちたいなあと感じる相手。
この違いは今後の社会では、お子さんの人生により重大な影響を及ぼすでしょう。
人類は変わってしまっている
人類社会は、今までとこれからがぜんぜん違います。
いつの間にか社会の構造が変わってしまっているのですが、これに気が付いていない人が古臭い思想を押しつけて、
「しつけがなってない。」「甘やかしすぎだ。」
などと言うのは、ごく自然なことです。でも、
親子の信頼関係。
この有無はお子さんの人生において命にかかわるほどに重大なポイントです。
もちろん、親が子供に「ついて来て~」とお願いしても、子どもが自発的について来てくれないかもしれません。
それでも動いてくれないなら
そういうときは、私なら
「ごめん、君をおんぶして連れてゆくぞ。」
と言って無理やり連れてゆき、途中でヘトヘトになり、そのヘトヘトの様子をじっくり見てもらえば充分です。
子どもが機嫌を損じて泣き出したら、私は「ごめんねえ」と謝ります。
子どもは、
親が自分の人格を尊重するためにこんなに無理をしている。
と感じるかもしれませんし、そのときはケラケラ笑うだけかもしれませんが、どちらでもよいのです。
親が子供に示すべきは、言葉よりも行動です。子供に愛情を注ぐということは、こういうことでもあります。
子どもの人格は親が子供を大事に思う言動から何事かを感じとりながら無意識に形成されてゆくものです。
親にたくさん迷惑をかけたと思う。でも親はその迷惑をぜんぜん気にしていない。
これこそが絶対的な親子関係であり、この状態に価値があるのです。
教育は試行錯誤ですから、皆さんの個性や環境のなかで、いろいろな工夫をしてみてください。
そんな方法でうちの子が立派な人間になるのか?
なんて私に言わないでください。
私は自分の子に立派になって欲しいとか、こうなって欲しいとか、そういう期待はまったくありません。
その子の能力と環境のなかで元気に生きていてくれたら、どんな人生でも構いません。
自分の気持ちを大事に思う親がいたという認識を子供が持っていてくれたら、それで私は満足です。
「気持ちを大事に」という部分が重要ですよ。
人生ではお金が大事
みたいな人生設定は、親がするものではありません。本人が選べばよいのです。
それを甘いと思う人は、なぜ「甘い」と思うようになったかを考えてみるとよいでしょう。
正しい方法できちんと手間をかければ、ちゃんとした親子の信頼関係を築けるでしょう。
それがどれほど素晴らしいことであるかを、あとでじっくり味わってください。
親子関係は人格形成に強く影響しているということはご理解いただけると思います。