ある方から、ご質問をいただきました。
「女性向けラノベで、ヒーローに対してヒロインからハグしたり、
キスをしてしまうのはダメでしょうか?」
結論からいきましょう。
「基本的には、よくありません」
うーん、私の気持ちとしては、「なんでもオッケーです!」
って言いたいところなんですけどね。
一応、きちんとしたお答えとしては、
「物語の前半部分で女性からのアプローチがあったり、
女性が積極的ではあっても、最終的には、男性が女性に
めちゃくちゃ惚れている、つまり、全体を通してみると、男性のほうが
積極的、と思えるならOK」とお返事しました。
現実では、女性が男性を選んだり、
女性のほうが積極的だったりすることは、
今の時代、当たり前ですよね。
その時代を映して、恋愛小説の中でも、
女性からアプローチしたり、女性が主導権を握る
恋愛があってもいいと思うんですけどね。
もちろん、文学作品としての恋愛小説なら
アリなのかもしれませんが、女性向けのラノベ、
ティーンズラブも含めた乙女向けファンタジーという
ジャンルにおいては、これはNGなんですよねぇ。
なぜかというと、一昔前に比べると、女性からの積極的なアプローチも
許容が広がっているのは事実なんですが、それでもやはり、
ラノベが目指しているのは結局のところ、「女性の夢」なんですよね。
女性は、「男性からリードされたい」という思いがどうしてもあるので、
ちょっとしたハグやキスが女性からあるのはもちろんOKなのですが、
小説を全体的に見て、「男性のほうが女性に対して積極的」
であってほしい、という願望があるのです。
恋愛のトキメキとは、「私があの人を誰よりも愛している!」という
のを感じた時にもあるんですが、「彼がこんなにも私を愛してくれている!」と感じた時のほうが、女性はより盛り上がる傾向にあります。
「女性の押しが強い」ラノベもあるにはありますが、
やはり読者受けがいいのは、
それを覆すほどの男性からの猛烈アプローチがある小説だったりします。
肉食系女子、草食系男子、という言葉もありましたが、
ラノベという夢の世界の中では、まだ草食系男子は許されていない……
というのが実情だったりします。
やはり女性は「強く激しく愛されて結ばれたい」
という思いが強いのでしょうか。
まだまだ乙女向けファンタジーの世界では、
時流を反映していないというか、昔ながらの、
もしかしたら、ちょっと時代錯誤な物語が繰り広げられていたりします。
出版は、「売れるもの」「求められるもの」を
出さないと黒字にならない、売上が見込めないという
「商売」でもあるので、「読者受け」を考えた方向性、
というのが大事ですね、やはり。
特にラノベなどは、読者の嗜好が強く出ますからね。
そんなわけで、趣味だけで書いているならともかく、
より多くの人に受け入れられたい、商売につなげたい、
賞獲得を目指したい、ということであれば、
ある程度セオリーに従って、「読者受けするかどうか」も
大事な要素になってきます。