講評ってどんなもの? その2

記事
コラム
ココナラに出品しているサービスの「講評」について、
前回に引き続き、具体例を出しつつ解説します。

小説の講評サービスは、基本的には、
「全体的な講評」「よい点」「改善点」
「修正アドバイス」に分けて講評しています。

一番大切な部分は「改善点」だと思うのですが、ここはかなり具体的に
書いてしまっているので、ちょっと抜き出すのが難しく、
今回は大まかな修正アドバイスを重点的にお送りします。

実際の「改善点」は、ページ数なども入れて、
どこをどのように直すべきか、もっと詳細にお伝えしています。

講評のほんの一部だけを抜粋でお送りします。
抜粋は、同じ方の作品ではなく、いろいろな方の講評から抜粋しております。
(※購入者の了承済み)


<全体的な講評の具体例1>
設定やキャラクター、書こうとしているテーマや題材は、
BLの王道であり、読者受けしやすい、素晴らしいものだと思いました。
また、ストーリーも起承転結がしっかりしており、中編という短さの中で、
過不足なくエピソードが盛り込まれ、物語の展開も上手だと思いました。
特に山場の作り方が上手で、後半の怒濤の展開は見事だと感じました。

では、投稿して賞を獲るためには、何が足りなかったか
それは作品全体の掘り下げだと思いました。
筆力、と言うこともできるのですが、
物語自体のストーリーや設定は面白そうなのですが、
読後感は全体に浅い印象が残りました。
作品全体が淡々とした印象で、情感たっぷりな部分が少なく、
恋愛小説としても、主人公の成長物語としても、
若干、物足りなさを感じました
中編なので、あまり掘り下げすぎても長くなってしまうのですが、
それでも、ファンタジー設定の掘り下げ不足主人公の感情の書き込みや
恋に落ちるエピソードと描写の不足があったと思います。


<改善点の具体例1>
・攻めとの出会いのシーンをもっと印象的に描く
攻めとの出会いのシーンで、怪我をして膝を舐めてくれそうになること等、
内容はとてもいいのですが、読んでいて少し情緒が足りないというか、
深い印象に欠ける気がしました。
他の部分もそうなのですが、さらっと書かれていて、どこも読みやすいのですが、強く引っかかる部分が少ないのです。
特に出会いのシーンや受けと攻めの二人の恋愛につながるシーンは、
情感たっぷりに読ませてほしいところです。
もう少しページ数を取って、その時の二人の様子、つまり攻めの美しさや表情、その時受けがどう感じたか、どう思ったかというのを、もっと熱量を持って書くと印象が変わるかと思います。

読者は主人公(受け)に感情移入して読んでいきます。
ですので、受けが感動すれば感動しますし、受けの感情が動かなければ読者の感情もあまり動きません。
攻めとの出会いのシーンがそっけなく感じたのは、受けの感動が薄かったから、というのもあると思います。

例えばですが、もう少し驚くとか(実際にこんな不思議な青年に会ったとしたら、もっと驚きそうな気がします)、
攻めの美しさをもっと書き込むとか(あまりに美しい人に会った場合、その後しばらくはぼーっとして思い返したりしそうです)、
もう少し感情的な部分を揺さぶるように書き込む、ということが大切になってくるかと思います。
たくさん書けばいいというものではありませんが、「感情を乗せるように書く」ということができるようになると、
雰囲気も読みごたえもガラリと変わるのではないかと思いました。


<修正アドバイスの具体例1>
すべてのキャラクターが魅力的に生き生きと描けており、
設定も個性的かつユニークで、
編集者や読者の目を引くものだと思います。
ラノベにおいて一番大切なのは、キャラクターと設定です。
その二つがクリアできているので、投稿作の中でも
目を引く存在、気になる作品になるのではないかと思います。
文章力、表現力、描写力も申し分ないです。
よかった点よりも改善が必要そうな点を多くあげましたが、
それは、「惜しいな、あと少しで商業出版レベルなのに」と思う部分が強くあり、それを重点的にお伝えするためです。

改善すべき点であげた、設定の詰めの甘さ、世界観の曖昧さ、
主役二人のラブロマンスの盛り上がりの欠如、といった点を直していくと、
プロへの道が見えてくるのではないかと思います。

編集者としては設定の詰めの甘さが、どうしても気になってしまいましたが、
「女性向けラノベ」「乙女向けファンタジー」というジャンルでは、
「ラブロマンス」「恋愛のドキドキ感」が重要視されます。
そういった意味では、今後の課題として、
「どのように読者に恋愛のドキドキ感を伝えていくか?」というのが大切になってくるかもしれません。
脇キャラを描くのもいいのですが、まずは主役二人の恋愛を、
二人の心が少しずつ近づいていく様子、情熱的なシーンやエピソード……などをもっと盛り込んでいけると、さらに素晴らしい作品になっていくと思います。


<修正アドバイスの具体例2>
前作も講評させていただいたので、前作と比較しての感想も書いておきます。
前作では、文章力、描写力等はあると思いましたが、設定やストーリー作り、
つまりプロット段階での作りこみが弱く感じられ、ユニークさ、独自性という点で弱いように思いました。
一方でこの作品は、かなりユニークで独特に感じました。
文章力、描写力は言うまでもないのですが、ストーリーの過不足のなさ、完成度といった点で文句のない出来栄えと思いました。
作品の素材が違ったので、作風も変化した、ということだと思いますが、かなりの小説の力量を感じました。
その上で、作品としては面白く素晴らしいのですが、BLとしてみた時にどうか? という点が気になり、
問題があるとすればその一点だけかと思います。

この作品はBLというよりはライトSF、大きなラノベの範疇になるのかな、といった印象です。
かなり腕を上げているので、あとはジャンル選び本当にBLという世界でやっていくのか、それとも、女性向けラノベというように、もう少し範囲を広げるのか、それとももっと広げて一般向けの小説に挑戦してみるのか……、方向性を少し模索されるといいと思います。

BLはよくも悪くも閉ざされた世界、狭い世界です。
そこで大切にされているのは「萌え」「恋愛の切なさ、胸きゅん」です。
「萌え」や「切ない恋心」を中心に書いていきたいなら、BLでよいと思いますが、もっと小説というものを極めていきたい、ということでしたら、
ジャンルにとらわれることなく、方向性を考えてみるのもいいのではないかと思いました。


……本当に小説の書き方、作風は多種多様なんですね。
小説がこれだけ違うということは、本当に人間って
違うんだなあと、変なところで感心したりしています(笑)。

作品の1作1作を大切に、真摯に向き合って講評しています。
エネルギーと時間はかかりますが、少しでも作品が
よくなっていくように、お手伝いできればと考えています。



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