無料公開!ショートストーリー【髪色】

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俺はハーフだ
母親が外国人である
だが父親に似過ぎたせいで残念ながらハーフには見えない

だけど髪色が他の日本人に比べてかなり赤い
さらには父親も髪の色素が薄く50歳手前で真っ白だ

子供の頃はこの赤い毛が自慢だった
中学、高校は親が説明していたため地毛届けという書類を提出した

確か高校2年の時だったか
父親の遺伝が気になり出した

そう

白髪である

両親の血が混じっている俺は、このとき三毛猫まではいかないが
あちこちで髪色が違った

流石に俺といえど年頃の男だ
白髪は恥ずかしい

そして黒染めをした
ところがどうだ
しばらくは黒いのだが、もちろん髪の毛
新しい髪が生えてくる
何ヶ月かするといわゆるプリンに
それもてっぺんが赤くて毛先が黒いという逆プリンではないか!!

さらに放置をしたら黒い部分の色も抜けていた
気付いたときには黒い部分がかなり茶色いのだ

でもそれはそれでよかった、黒髪の時より白髪も目立たなかったからだ

当時は学生、バイトも大してしてない高校生はしょっちゅう髪を染めるお金など無いのだ

それから染めるときは黒ではなく地毛に近い色を選ぶようにした
黒より後が楽だからである

そして高校を卒業して社会に出た

そして社会に出て髪色を言われた

とりあえず白髪が気になるので染めてはいるが、ハーフなので元からこれに近い髪色です
と説明した

だが社会の対応は違かった
社会人は見た目が大切だと
髪を染めるというのはいわゆる、だらしないと
さらには短髪では無かったが決してロン毛では無かった髪を長いから、だらしないから切れと
印象が悪いと

きっとハーフに見えないから嘘をついてると思い言ったのだろう
おそらくこの上司は、はっきり地毛が金髪の外国人には同じことは言わない


まあそれは半分俺の親のせいだ
しょうがない

でも俺はもう1つ気になった

なぜ髪が赤いのがだらしないと?
髪は確かに短髪ではないが、キッチリセットもしているのにだらしないと?

俺は不思議な気持ちになった

上司や周りのおじさん達を見た
悪あがきのハゲや白髪やデブは普通にいる

自分で言うのもあれなのだが印象には自信がある
少なくとも、このハゲ、デブと一緒に営業したとしても俺の方が好印象に捉えてもらえるのは間違いない

おかしくないか?


印象を考えるなら、悪あがきで残した髪の毛方が印象が悪い
茶髪とは悪口にならないが、ハゲは悪口である
それは印象が悪いから言われることだという証明だ

白髪もそうだ、日本人は黒髪しか許さないのであれば何故白髪はいいのか?
白髪混じりを我慢して全部地毛にした俺は、そろそろ赤くなってきたから染めてと言われるのに、何故白髪には染めろと言わないのか

デブに関してもハゲと一緒
程度によるがデブも印象は良くはない
私生活のだらしなさと思われるからだ

この程度ハゲてきたら坊主にしなさいとか、かつらを被りなさいというルールがないのがおかしい
デブも身長に対して体重は何キロと基準をつけても良いものだ
白髪も色の基準があるのなら染めるべきだ

なのにない
若者の髪を規制するのに年寄りの髪を規制するルールが日本には無いのだ

そして外国人も日本の企業で働くなら、地毛の金髪だろうと、眉毛まで染めてこいと、目が青いなら黒のカラーコンタクト入れてこいと
規制するべきだ

だが実際そんなことはない

外国人には、まぁしょうがないよね?なんて暗黙のルールがある

結局は大人の都合の良い解釈の上に成り立って、もいないが
都合の良いルールなのだ


まあ今言ったルールにしてほしいなんて思ってないけど
今の時代
髪色なんかで相手を判断なんてしない
むしろハゲとデブの方が気にされる

俺が言いたいのはもっと若者に優しくても良いのではなかと
時代についていけていないルールはいらないのではないかと

それを全部上司に言ってみた

上司は何も言わなかった

それから俺は髪に関することは言われなくなった

今でも思い出す

全部言った時何も言わずに後ろに振り返った上司

その後頭部の地肌の色を・・・


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