はじめに
本補助金は、全体採択率15%程度という、かなりハードルの高い補助金です。
書面審査の突破も簡単ではありません。
しかも、書面審査の後、面談があるため、これも大変です。
本記事では、我々が計画書を作る時に考えていることを、簡単にご紹介したいと思います。
1.審査基準
補助金を申請する場合には、まずは審査基準を確認する必要があります。
令和6年第2回分については、『募集要項』の83ページに記載があります。
ここに書かれていることは、全て重要です。
そして、ここに書かれていることは、面談でも質問されると思っておいてください。
2.助成事業概要
・『1枠1文字』が地味に面倒
・シンプルに、実施内容の”魅力”を伝える
本補助金の採択率は15%、単に「集客したい」ぐらいの内容では通りません。
この『助成事業概要』部分に、ありきたりのサービスに関する、ありきたりな事業内容を記載するのは、得策とは思えません。
しっかり練って、事業自体の魅力が伝わるタイトルを考えましょう。
○よくある例
ウェブ制作にAIを活用することで安価にホームページを提供する(28文字)
○改善例
画像も文章もAIが最適化、早い・安い・きれいなウェブ制作を実現(30文字)
3.事業内容とその背景
・記載されている項目を1つ1つ丁寧に書く
・情報を整理するスキルが重要
ここでは、『種類、価格、規模・数量、場所、開始時期、時間帯』という内容が、書式上求められています。
これらの内容は、最低限書かなければなりません。
ただし、『ここに書かれている内容を書けばOK』ではありません。
ここで書かなければならないことは、『製品・商品・サービス内容の詳細』なんです。
この『詳細』を説明して、分かってもらうために必要な情報を、丁寧に整理して書かなければなりません。
○よくある例
種類 ホームぺージ
価格 5~50万円
規模・数量 月に2~3件
場所 自宅にて
開始時期 事業開始済み
時間帯 だいたい9~18時ぐらいまで作業、時々徹夜
○改善例
種類
主に小規模の会社・個人事業主向けのホームぺージ。
・Wordpressによるオリジナルホームページの制作
・Wix・Jimdoといったオンラインサービスのデザイン制作も実施する
価格
・Wordpress 初期設定・ブログ設置のみ 5万円
・コーポレートサイト 15~50万円
・ランディングページ 10~20万円
なお、上記はあくまで例です。私が計画書を作るとしたら、表にしたり画像を入れたりして、商材の全体像が分かるように記載します。
注意点としては、細かく書けばよいのではなく、『全体像が分かりやすいように書く』ことです。
4.申請者について
・『創業願望』を素直に書くのではなく、必然性をアピールする
・『社会課題』を自分だから解決できるというストーリーで書く
まずは、『創業に至った経緯・理由』。
ここは本来、多くの人が、就職活動・転職活動などで、十分訓練されてきた内容だと思うのですが。
それでも、ここを上手に書く方は、多くありません。
全ては、『どうしてこの事業に至ったのか』というストーリーにつながらなければなりません。
例えば、『ラーメン屋』をやるとして。
『ラーメン屋』につながらないような経歴にスペースを取られるのは意味がありません。
『履歴書』のような感じで、会社や店舗の在籍履歴を記載してもしょうがないです。
どうして『ラーメン屋』をやろうと思ったのか、そのスキルはどこで身に付けたのか。
それを書くのが『創業に至った経緯・理由』なのです。
次に、『創業によって解決可能となる社会課題』。
ここでは、理念倒れのビジネスにならないように、『どういう社会課題があって、弊社だったら、だから実現できる』を書かなければなりません。
○よくある例
真にラーメンを愛する人に、無化調のラーメンを提供して、より健康的な社会へ
○改善例
『無化調』のラーメン店は多くある。
ただ、『化学調味料』を使ったラーメンに、美味しさでどうしても劣ってしまうため、ファンを得づらく、『1000円の壁』も超えづらい。
結果的に、『無化調』に純粋にこだわるようなお店は減ってきている。
当店では、『全国の良質な野菜の仕入れ』にこだわり、『野菜本来の旨み』を追求することで、『美味しさ』と『1000円の壁』に挑戦する。
さらに、根菜などを上手に活用し、『健康的にお腹いっぱい』も実現する。
なお、このアピールをするためには、『創業に至った経緯・理由』の部分で、『全国の良質な野菜の仕入れ』にこだわることができるようになったきっかけがあることが前提となります。
さいごに
このように、1つ1つの項目を、単に丁寧に書けばよいのではありません。
むしろ、その程度の努力は、全ての申請者がしてきているものと思います。
大切なのは、以下の2つです。
・上手に情報を整理すること
・その項目でアピールすべき内容を戦略的にアピールすること
これらにこだわって資料を作成・確認するようにしましょう。