サービス付き高齢者向け住宅
入居促進のための地域連携&見学会開催
次に、売上課題である”入居促進”について戦略検討し、計画に落とし込み進めていきます。
株式会社C社にかかわらず、障害者グループホームにおいても、まだまだ”営業”という概念が強すぎるのは大きな意識課題です。
高齢分野が先駆けである「地域包括ケアシステム」の構築を、障害分野でも目指すという動きが数年前より始まっています。
個人的には、地域包括ケアシステムの障害バージョンなど、存在して当然だと思っていたので、大学院の講義で話を聞いた時には、まだ本格的に始まっていないことに驚きました。
さて、障害者グループホームは全部で4棟です。
また、私が支援していた後半の時期には5棟目を建設予定でしたから、今回の入居促進戦略は、新設も含めて戦略を検討しなければなりませんでした。
目的は2つです。
①現在の4棟の空室を埋めること
②地域連携活動の本質を伝え、教育し自走できるようにすること
まず取り組んだのは『見学会』です。
株式会社C社では、オープンする際に一度だけ見学会を開催したと言います。それ以降、空室が出ても見学会を開催することなく、基本的には”いつでも内覧可能”状態にしていました。
とはいっても、本当にいつでも内覧できることはありません。
内覧の準備やプロセスの確認、その後のフォローアップなど一切整備されていませんでしたから。
内覧も見学会も実は相当な準備が必要なのです。
私は、これを介護付き有料老人ホームの入居相談員で経験し学びました。
ひとつは、実質的にはいつでも内覧が可能な状態にしておくのですが、内覧プロセスを確立させ、見学者に「入居したい!」と思わせることです。
もう一つは、見学会を年に数回の特別なイベントとして、盛大に開催することです。これは、いつでも内覧できる状態に対する”慣れ”や”飽き”に対して、刺激を強い喚起を促します。
この二つをもって見学会を開催し、成功させる必要があります。
株式会社C社においても、同様のイベントを行う予定でしたが、正直な話、上手くいきませんでした。
しかし、結果として3日間実施た見学会の来設者は15人。7組程度だったでしょうかね。
これは最近のデータから見ると、非常に高い数字でありますが、目標の15組には遠く及びませんでした。
それでも15人の中から、4人が入居に繋がればいいのですが・・ここでの大きな失敗はプロセスを確立する時間が短すぎて、見学者のフォローアップも丁寧にできなかったことにあります。
簡単に言えば、今回の見学会の開催準備が3日間程度、そして見学会の当日に内覧ルートからヒアリングシートの記入方法、フォローアップの方法などすべて伝えきれなかったこともありますが、思いのほか、見学会や専門職としての意識の低さが露呈したことです。
見学会の来設者に対するヒアリング力も低く、情報収集が何一つできていないこと、相談シートの項目が雑なことも意識の低さからではないでしょうか。
ただ、今回の見学会を実施した良かったのは、OJTとして職員の皆さんに『方法論』を伝えることできたことです。
実際に私が見学会を”やってみせた”のは大きかったと思います。
この3日間の経験が今も生きていることを願うばかりです。
次に取り組んだのは『地域連携活動』です。
これは一般的に言う「営業活動」となります。
今でこそ、少しずつ地域連携活動が広まっておりますが、まだまだ営業活動という言葉が定着しており、この言葉が与える人へのマイナスな影響は経営に大きなダメージを与えています。
株式会社C社も例外ではありません。
問題が大きく、私が支援に入り退職した女性のサービス管理責任者も、その後出戻りで就任した男性責任者も、障害者にグループホームの運営に必要な地域連携活動は一切取り組んでいませんでした。
地域連携活動を行う場合、まずは過去の実績を調べる必要があります。
過去の実績で最も重要なのは『問合せ先』です。
つまり、これまで
①いつ
②どこから
③誰を
④どんな内容で
問合せがあったのか?が最も重要なのです。
問合せ=信用の証なので、どれだけ地域から一定の信用を得られているか物差しとして測ることができます。
しかし、残念なことに過去の実績は一切なく、現在入居している利用者に関してもどのような媒体で、どこから紹介が来たのか経緯の記録がありませんでした。
こうなると、地域連携活動は本当に「1」からのスタートです。
出戻りしたサービス管理責任者の男性と一緒に、フィールドワークで地域の連携先を訪問していきます。相談支援事業所、基幹相談支援センター、病院などアポイントを取得したものもありますが、基本的には飛び込み訪問を実施いたしました。
発見できたのは、意外にも同行したサービス管理責任者を覚えている連携先が多く、連携という意味では無意識的に出来ていたことです。
社長とトラブルになり、退職する前はできる限りの運営努力をしていたのでしょうね。
実際に、会話の中でも「●●さんが戻るならまたお願いしたい」という声も多く、今回のサービス管理責任者の交代は、結果的に良かったものだと評価することできます。
株式会社C社の経営者の評価は、出戻りサビ官も、退職した女性サビ官の評価も、とても低いものでした。しかし、その評価は最初から期待値が高すぎたのかもしれません。
経営者として測るべき期待値を適正に設定し、すり合わせることが非常に重要なのです。
実績に外に出て話を聞くことができれば、表面上の数字評価では測れない事実が浮き彫りになるものです。
地域連携活動は、単に障害者グループホームの入居促進を行い、売上をつくるだけではなく、地域連携の度合いを測り、地域の評価を”生の声”として取り入れることができる重要な活動となります。
”主産物より副産物”です。
意図しない副産物が、意外にも組織が成長・発展するための大きなヒントになり得るとおもいませんか。