診察で『いつもどおり』しか言えないときに

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コラム
精神科や心療内科の診察に通っていると、必ずといっていいほど医師から「体調はどうですか?」「調子はどうですか?」と聞かれる場面があります。

本当は伝えたいことがたくさんあるはずなのに、いざその場になると頭が真っ白になってしまい、思わず「いつもどおりです」とだけ答えてしまう…。
そんな経験をされた方は少なくないのではないでしょうか。

実はこれは、とてもよくあることです。
精神疾患を抱えていると、症状そのものや心身の疲労が、言葉を選んで説明する力を奪ってしまうことがあります。

「ちゃんと話せなかった」と落ち込む必要はありません。
でも、せっかく診察に行ったのなら、できるだけ今の状態を伝えたいものですよね。
そこで今回は、「うまく言えないときの工夫」をいくつかご紹介します。

1️⃣日々の記録を持っていく

言葉で説明するのが難しいときは、紙やスマホにメモを残しておくと役立ちます。たとえば、

☑️朝起きられなかった
☑️人に会うのがしんどい
☑️眠りが浅い
☑️昨日は少し気持ちが軽かった

といった一言だけでも大丈夫です。
さらに「気分:10点中3」「不安:10点中7」といった数値化をしておくと、よりわかりやすくなります。
医師にメモをそのまま見せるだけで診察がスムーズに進みます。

2️⃣チェックリスト方式で伝える

「今日はどんなことがつらいか」をあらかじめ箇条書きにしておくのもおすすめです。たとえば:

☑️寝つきが悪い/寝すぎる
☑️食欲がない/食べすぎる
☑️イライラしやすい
☑️涙が出やすい
☑️人と会うのが怖い

このようなチェックリストを作って持参すれば、口頭で説明できなくても紙を見せるだけで十分に伝わります。

3️⃣「変化」に注目してみる

「いつもどおり」と答えてしまうときでも、よく振り返ると小さな変化があるかもしれません。
例えば:

☑️前回の診察より気分が少し楽になった
☑️薬を飲むと眠気が強くなった
☑️季節や天気で気分の上下がある

このように「前回と比べてどうか」という視点で話すと、医師にとっては大切な手がかりになります。

4️⃣言葉が出ないときの逃げ道を用意する

どうしても話せないときは、無理に口にしなくても大丈夫です。
代わりに:

☑️紙に「今日は話せません。これを読んでください」と書いて渡す
☑️スマホのメモ画面を見せる
☑️「いつもどおりとしか言えません」と正直に伝える

これだけでも立派な自己表現です。
医師は「話せない」という事実そのものからも状態を理解してくれます。

5️⃣家族や支援者に同席してもらう

もし可能なら、信頼できる人に診察に同席してもらう方法もあります。
自分では言いにくいことを、客観的に「この1週間はほとんど寝込んでいました」と補足してもらえるだけで、診察がスムーズになります。

❇️完璧に伝えなくても大丈夫❇️

ここまでいくつかの工夫を紹介しましたが、一番大切なのは「完璧に説明しなくてもいい」という気持ちです。
医師は限られた情報からでも状態を推測し、必要な調整をしてくれます。
だから「うまく言えなかった」と自分を責める必要はありません。

「言えないことがある」という事実もまた、大切な症状の一部です。
そのままの姿で診察に臨んでいいのだと思います。
無理のない形で少しずつ伝え方を工夫しながら、安心できる診察時間をつくっていけたらいいですね。


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