その夜の前日、隔離病棟で事件を起こしてしまった。女の子にチョコレートを渡してしまったのだ。これは規則違反でやってはいけない。ホール中に知れ渡ってしまい、気にしいのゆきのとはまず看護師さんに相談した。身体の大きい実直な看護師さんだ。「ぼく婚約者がいて、広まったらどうしよう…」「ここ誰も入って来ないよ」そう隔離病棟だから小銭などの金属も持ち込めないようになっている。噂など広まらない。「でも」「ゆきのとさんは、ほんっと気にしいなんだから。そーゆーの良くない!!!」強めの口調で注意された。「でも!浮気だと思われたら!?」「チョコレートあげただけなんでしょ!?そんなの浮気じゃない!!大丈夫だから!!!」「じゃあ部屋に帰って絵描いててもいいですか?」「そうだよー!ピックチャーがあるでしょ!!ピクチャーがぁ!!」「ピクチャーて……」外に出ると外にヒロさんが腕を組んで待っていた。「大丈夫か?」と一言だけ言う。「大丈夫です」「ホントか?」「これだけ大丈夫言ってて大丈夫じゃなかったらまずいでしょー」「わかった」しかし、ゆきのとはリカバリー出来ず部屋に戻ろうとした。「大丈夫か?」「あんまり大丈夫じゃないです」「だったらなんで真っ先にオレに教えねえーんだ!!!」怒らしてしまった。ヒロさんがイスを奥に引く。「座れ」 次(10分でやれ#2)に続く