誰かに合わせて選ぶ恋ってさ、結局……続かないし

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コラム
教室に、少し長い沈黙が落ちた。

窓の外、オレンジ色の光がゆっくりと傾いていく。

凪の言葉は、まだ空気の中に残っていた。

「……自分を、選ぶ、か」
悠真が、ぽつりと呟いた。

その声は、少しだけ震えていた。

「それってさ……」
言いかけて、止まる。

言葉を選ぼうとしているのが、わかる。

蓮が、ゆっくりと息を吐いた。

「いいと思う」

迷いのない声だった。

「誰かに合わせて選ぶ恋ってさ、結局……続かないし」

少しだけ笑う。

「俺、それ、前にやったことある」

凪が、顔を上げる。

蓮の言葉は、どこかやさしくて、でも逃げていなかった。

「だからさ」
蓮は続ける。

「凪が“自分を選ぶ”って言ったの、ちゃんと意味あると思う」

一歩だけ、前に出る。

「でも、そのあとで選ばれるのが俺だったら……それは嬉しい」

空気が、少しだけ揺れた。

悠真が、顔を上げる。

その目は、まっすぐだった。

「……ずるいな、それ」
苦笑いのような、でもどこか本音の声。

「俺もさ」

ゆっくり、言葉を探す。

「凪に選ばれたい」

一歩、踏み出す。

「でも……」

そこで、止まる。

「“無理してる凪”に選ばれるのは、違うって思う」

凪の目が、わずかに揺れた。

「ちゃんと、自分で立ってる凪に」

少しだけ息を吸う。

「その上で、俺を見てほしい」

教室の空気が、静かに張りつめる。

陽菜が、ふっと笑った。
「……あーあ」

腕を組んで、少しだけ肩をすくめる。

「なんか、みんな急にちゃんとしてるじゃん」

その一言で、少しだけ空気がほどけた。

「でもさ」

陽菜が凪を見る。

「いいじゃん、それ」

やわらかい声。

「恋って、“選ばれるゲーム”じゃないし」

少しだけ、間を置いて。

「“どう生きるか”の延長にあるだけでしょ?」

凪の胸が、ゆっくりと揺れる。

「……うん」
小さく、頷いた。

「わたしね」
言葉を、確かめるように。

「ずっと、“嫌われないように”選んできた」

視線が、少し下がる。

「だから……好きって言ってても、どこか怖かった」

ゆっくり、顔を上げる。

「でも、もうやめたい」
その声は、静かで。

でも、はっきりしていた。

「ちゃんと、自分で選びたい」

夕陽が、凪の横顔を照らす。

「どっちを選ぶか、じゃなくて」

少しだけ、息を吐く。

「どういう自分でいたいか、で選びたい」

その言葉は、
誰かに向けたものじゃなくて、

凪自身に向けられていた。

沈黙。

悠真が、静かに頷く。
「……待つよ」

短い言葉。

でも、逃げていなかった。

蓮も、少しだけ笑う。

「俺も」
肩の力が抜けた、やさしい声。

陽菜が、ふっと息を吐いた。

そして、小さく呟く。
「……ゆうまのおばかさん」

一瞬、みんなが止まる。

「ちゃんと伝えられるようになったじゃん」

少しだけ、意地悪そうに笑う。

悠真が、照れたように視線を逸らす。

夕陽が、ゆっくりと教室から消えていく。

凪は、窓の外を見た。

“選ばれる”でもなく
“選ぶ”でもなく

“わたしでいる”

その感覚が、
はじめて、ちゃんと輪郭を持った気がした。

静かな放課後。

でも確かに、
何かが、大きく動いた。
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