俺が見てるの、誰だと思ってる。

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コラム
陽菜の足音が、廊下に軽く響く。

凪は、まだ動けずにいた。

悠真の言葉が、胸の奥で何度も揺れている。

――俺が見てるの、誰だと思ってる。

その意味を、考えないようにしていた。

考えたら。

きっと、期待してしまうから。

凪は、小さく息を吐く。

そのとき。

「悠真?」

陽菜の声が、すぐ後ろで止まる。

凪は振り向く。

陽菜は、少し驚いた顔をしていた。

「どうしたの?」

その声は、いつもと同じ明るさだった。

でも。

その明るさが、凪の胸を少しだけ苦しくする。

悠真が答える。

「いや。」

少し言葉を探す。

「ちょっと話してただけ。」

陽菜は、凪を見る。

その視線は、やさしかった。

「凪、顔赤いよ?」

思わず、凪は視線を落とす。

「え?」

自分でも気づかなかった。

悠真が、少しだけ笑う。

「ほらな。」

凪は、慌ててリボンを触る。

「ち、違うよ。」

でも。

胸は、まだ強く鳴っている。

陽菜は、二人を見比べる。

そして、少しだけ首をかしげる。

「なんか。」

小さく笑う。

「わたし、邪魔だった?」

その言葉に、

凪の心が、また揺れる。

違う。

邪魔なんかじゃない。

むしろ。

凪は、そっと思う。

――わたしが。

その言葉が、
また胸の奥で形になりかける。

でも。

そのとき。

悠真が、はっきり言う。
「違う。」

廊下の空気が、少し止まる。

悠真は、凪を見たまま言う。
「まだ、話終わってない。」

その一言で、凪の心は、

また大きく揺れ始める。

夕方の光が、
三人の影を、長く廊下に伸ばしていた。
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