……わたしさ。……でもね。

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コラム
凪は、
赤いリボンをぎゅっと握ったまま、顔を上げた。

悠真は、逃げない。
まっすぐこちらを見ている。

夕方の光が、廊下に長くのびる。

凪は、ゆっくり言葉を探す。

「……わたしさ。」

声が、少しだけ小さい。

でも、止めない。

「悠真といると、楽しいよ。」

悠真の目が、少しやわらぐ。

「でもね。」

凪は、窓の外を見る。

グラウンドは、もうほとんど人がいない。

その向こうに、

陽菜の笑顔が、まだ頭に残っている。

「陽菜って、すごいよね。」

悠真の眉が、少し動く。

凪は続ける。

「明るいし。」

「誰とでも自然に話せるし。」

「……ああいう人、好きになると思う。」

言いながら、

胸の奥が、きゅっと痛む。

でも。

ここで言わないと、
きっと、ずっと言えない。

凪は、小さく笑う。
「だからさ。」

言葉が、もうすぐ出る。

――わたしは。

その瞬間。

悠真が、ふっと息を吐く。

「凪。」
その声は、さっきより低い。

「それ。」

凪は、顔を上げる。

悠真は、少し困ったように笑う。

「全部、凪が決めてるだけだろ。」

その言葉に、
凪の心が、大きく揺れる。

「俺、そんなこと一回も言ってない。」

廊下に、静かな空気が流れる。

凪の胸が、強く鳴る。

まさか。
そんなこと、考えてもいなかった。

悠真は、少しだけ近づく。

そして、静かに言う。
「凪。」

その目は、まっすぐだった。
「俺が見てるの、誰だと思ってる。」

その言葉が、
凪の胸に、静かに落ちる。

そして、
凪の心は、

また大きく揺れ始める。
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