「さて、あなたはこれまでアルバイトしか経験がなけれど、具体的にはどんなことをやってきましたか。」
この相談員さんの質問にたどたどしく答えていきました。
私「大道具や百貨店の店員をやりましたが、一番長かったのは塾の講師です」
相談員さん「うんうん」
私「塾では国語、社会を主に教えていました」
相談員さん「教えていただけ?」
私「教材をつくったり、進路指導したりもします。保護者会で話したり、親御さんと面談したりも」
相談員さん「なかなかいいねぇ、あなた話した方も上手ですもんね」
相談員さんはやはり褒めるのもうまい。
相談員さん「なにか具体的に評価されたこととかある」
私「一教室でのことですが、生徒アンケートで何度か1位評価をもらいました」
相談員「それぜったいアピールしましょう、職務経歴書で」
私「国語の授業で作文を積極的にやっていたら、塾側から作文講座のクラスを新設してほしいと言われて担当しました」
相談員「それは新規事業の立ち上げになるね、それも絶対に職務経歴書に入れましょう。きっといい職務経歴書が書けるよ」
私「正社員経験での実績ではないけどいいんですか」
相談員「いいですよ、バイトでの功績だって立派なものです」
私「僕は塾業界でしか通用しないですか」
相談員「そうだね。書類が目に留まるのは学習系の業界でしょうね。あなたが学習系以外を望んでいるとしても、まずは学習系業界で書類を通すことや面談に臨むことを経験したほうがいいと思う。そこに就職するかは内定を受けてからあなたが選べるんだから」
もう早く家に帰って職務経歴書を書いてみたい気持ちになっていました。
相談員さんは「本当はダメなんだけど」といいながら名刺をくださって、なにかわからないことがあったら連絡してと言ってくれました。
人のやさしさが沁みました。
バイトを通じて塾業界はいろいろ知ってしまっていたので、他の業界で挑戦してみたいけれど、まずは自分のフィールドを軸にしながら就職活動することにしました。
途方にくれていた状況から、具体的にやることが見つかった瞬間でした。